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「杖持たず」の旧式魔術師 〜機械音痴は手動の魔術で時代を追い抜く〜  作者: 最上 虎々
第四章 鬼の仮面

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第四十七話 囮少女救出作戦

 一週間後の夜。


 作戦通り、アリスちゃんは鬼の仮面を身につけた集団に襲われ、囚われの身となった。


 アリスちゃんは事前に「表に姿を現しているアリス・スコットが、クイナ・トドメキの現在地を知っている」という情報を流していた。


 そこで出した尻尾を、俺とクルピアちゃんが取っ捕まえる、そういう作戦である。


 そしてこれまた作戦通り、王都に鬼の仮面を装着した集団が姿を現した。


 アリスちゃんが捕まった後に提示したガセネタの場所は、繁華街にある、俺が初めてアリスちゃんに会った会員制のバー。


 あそこの最奥に追い込めば、奴らの親玉に辿り着くためのヒントを持っている敵に会えるだろうという、そういう算段である。


 簡単にまとめると、アリスちゃんがわざと敵に捕まり、クイナ・トドメキの偽の居場所を吐いたため、それに釣られて出てきた敵の幹部或いは主犯格を叩くと、そういう作戦だ。


「行きますよ、クルピアちゃん」


「うむ!」


 俺とクルピアちゃんは寮を抜け出し、箒に乗って繁華街近くへ。


「ム!こちらへ接近する魔術師がぐぺぁ」


「ど、どうした!?何がごはぁ」


「どけどけどけどけどけどけーっ!」


 立ち塞がる鬼の仮面を装着した連中を吹き飛ばしながら、俺とクルピアちゃんは夜の街を進む。


「気合い入っとるのぅ」


「そりゃそうですよ!この作戦にはアリスちゃんの安全もかかってますからね!」


「やれやれじゃ。どれ、二手に分かれるぞ。繁華街の方は任せろ。アリスの身柄に関しては……頼んだぞ」


「承知ィ!」


「無理はするんじゃあないぞ!」


 繁華街の方はクルピアちゃんに任せて、俺はアリスちゃんの元へ向かうことにした。


 アリスちゃんの居場所は特定済みだ。


 何を隠そう、特殊な変換を施した魔力を放出することで居場所を伝えるタグを、アリスちゃんの服に忍び込ませておいたからである。


 待ってろアリスちゃん。


 どうせ事が済んだら一人でも抜け出せるんだろうけど。


 万が一、強力な魔術師の数を揃えられては、流石のアリスちゃんでも苦戦するかもしれない。


 俺はそんな不安を解消すべく、一人、アリスちゃんが待つ繁華街の端っこ、ボロいアパート跡へと向かうのであった。


 それから十分後。


 俺は繁華街の端までやってきた。


 目の前には、アリスちゃんから送られてきた写真と同じアパート跡。


「【屈折迷彩(ピカリィ)】、【(ランラン)】、【強化(ググーン)】」


 俺はヒーロースーツ装着しているように見える光学迷彩と変声機代わりの「(ランラン)」を纏い、突入した。


「そこのお前!手を挙げろ!」


「止まれ!何者だ!?」


「|オ前ラニ名乗ル名ナド無イ《お前らに名乗る名など無い》」


 俺は強化した肉体で、鬼の仮面を装着した魔術師らしき二人の敵をそれぞれ殴りつける。


「がは……」


「ぐふぅ……」


 こいつらは取るに足らない雑兵だろう。


 俺はその場を後にし、さらに奥へと進んでいく。


「おい待て、止まれ!」


「侵入者発見!侵入しゃ……」


「【火柱(モエーロ)】」


「ぐはぁ!」


「ぶほぉ!」


 さらに、火柱で雑兵を二人撃破。


 この程度、何てことは無い。


 魔力もまだまだ余っている。


 階段を登って二階へ。


 どうせアリスちゃんがいるのは最上階である三階だろうが、ここもくまなく捜索しよう。


「何だお前……!」


「やけに下が騒がしいと思ったら……!」


「【火の鳥(モエーロ)】」


「ぐえ!」


「ぎゃぁ!」


 少し強そうな奴らが出てきたが、こいつらもどうせ雑魚枠だろう。


 俺は「火の鳥(モエーロ)」を短縮詠唱で使い、二人を死なない程度に焼いておいた。


 二階には雑兵の他に誰もおらず、全員を軽く焼き尽くし、さらに俺は三階へ進んだ。


「……お前、ここまで来るか。何者だ?」


「|無垢ナル少女ヲ誘拐スル下衆ニ名乗ル名ハ無イ《無垢なる少女を誘拐するゲスに名乗る名は無い》」


「問答無用か。ならばこれで散るが良い!【斬馬(ざんば)】!」


 目の前に現れた青年は刀を抜き、こちらへ向かってくる。


 魔力で斬撃を強化しているのだろうか。


 斬る動作の前から、既に刃が空気を切っているのか、ヒュンヒュンと音が鳴っている。


 しかし、そんな見え見えの剣技に引っかかる俺、もといクルピア・イロアの弟子ではない。


「【(ピカリィ)】!」


 俺は「(ピカリィ)」を開き切った敵の目に照射。


「なっ……!?」


「隙アリ」


 そして、強化した右手で腹部に掌底を食らわせた。


「ごはぁ」


 体勢を崩したところで、胸部にローリングエルボーを当てて、その勢いを活かして裏拳を顔面に入れる。


 そして、よろけたところに右脚で蹴りを入れると、そのまま廊下に置いてあった樽に頭を突っ込み、そのまま気絶してしまった。


 俺はそのまま、三階の部屋を一つ一つ探っていく。


 ある程度の雑兵を片付けながら一通りの部屋を探した後、俺は明らかにボス部屋らしき雰囲気を醸し出している、最奥の一部屋へ突入した。


「むぐ、むぐー!」


「……おや、お客さんですか」


 そこには椅子に縛りつけられ、猿ぐつわを噛まされているアリスちゃんと。


「……|何故、オ前ガ、ココニイルンダ《何故、お前が、ここにいるんだ》……!」


「その反応……私に見覚えがあるのですか?すみませんが、貴方が誰だか私には分かりませんねぇ。ですが」


「グスタフ・カルドール……!」


「折角、クイナ・トドメキの居場所を仕入れたんです。邪魔者には、消えて頂きましょうか」


「死すべし、クソ野郎!」


 俺は「(ピカリィ)」を解き、そこに回していた魔力を身体の強化に回す。


「おや、プラティエさんではありませんか。教え子を直接この手で殺すことになるとは……残念です」


「うるせぇブッ殺されんのはテメェだ!」


 カルドール先生が、まさか敵だったとは。


 裏切られた思いと、アリスちゃんを助けたい思いで、俺は全身に魔力を流し、グスタフ先生の元へ突っ込んでいくのであった。

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