そして、ハッピーエンド。
それから1年・・・
私達には男の子が産まれた。
髪の毛はシンさんに似た茶色。目は、私に似たちょっと明るめの茶色。えくぼも私に似たか。
きゃっきゃと愛想を振りまく赤ん坊に、お忍びで来た王様はもう、デレデレだった。
皇太子が、「僕は辞退するから、この子を皇太子にして~」と騒ぎ、王様とシンさんにげんこつを貰っていた。
・・・今現在、誰が政治をしてるのか不安だ。
ミーナは今、妊娠4カ月。
体調も落ち着いたのに、子爵様はそれはもう、頻繁に来る。ちょっと心配しすぎじゃないのかな?
1年の間に道は整備されて、都まで6日半で行けるようにはなったけど、それでも旧街道はまだ埋まったまま、出てこない。
これが整備されれば、もう半日は短縮可能だ。都まで6日で行ける計算になる。
観光客も増えてきた。主に・・・縁結び目当てが。
なんでも、小人族が作った、両想いの腕輪(男女ペア)を買って片方プレゼントすると、想いが実るとか。
そういえば、タスクがミーナに出合った時、急いで小人族から腕輪を買ってプレゼントしたらしい。
ついでに、噂の小説のモデルのカップルを見たいという、ミーハーな人達も、こんな田舎までやってくる。
小説では、家に監禁された彼女を助け出すため、彼は単身で乗り込み、彼女の名前を呼ぶが、家族に鞭で打たれそうになる。
それを飛び出した彼女がかばい、傷を負いながらも手を取り合って、嵐の森を逃げたとか。
森の中で猛獣に囲まれながらも、彼女を全力で守る彼・・・とか、
どんだけ情熱的なんだ・・・それは実物を見てみたくもなるかも。
いろんな人が出入りすると、物騒なことも起こってくる。
街道の村と村の移動は、大体1日掛かるし。
間に小さな村を作り、そこに自衛団を数人ずつ置いた。連絡係兼、街道の安全の為だ。
これで、半日でも、安全に休める場所を確保した。
領地の端の村では、森でしか取れない果物を栽培して、売ることにした。
主に王様の避暑用の宮殿に。甘いものが出てくるようになって、お客様には好評だそうだ。
もう、シンさんを貧乏貴族と呼ぶ人もいないし、ミルの村を何もないド田舎と呼ぶ人もいない。
今では、旅行に行ってみたい村ランキングで上位だそうだ。
私やミーナの結婚式がうらやましかったのか、少数民族の男女がバタバタと結婚し、只今出産ラッシュ中。
これは、学校や保育所も整備せねば。
一つの村に一人先生が欲しい所だ。
あと、お医者さんは1年の間に見習いが何人か出来たので、先生と一緒に巡回をしてもらえるようにお願いして・・・やることは山ほどある。
でも、いろんな人たちが集まって、みんなで頑張って生きているミルの村は、きっとこの世界で一番幸せなんじゃないかと思う。
そして、今日も茶色の王子様と緑のお姫様はみんなに囲まれ、忙しそうに、幸せそうに働くのだ。
みなさん、最後までお付き合いいただきありがとうございました。
初めてのつたない小説でしたが、少しでも楽しんでいただけたなら幸いです。
皆様の幸せを願って、ハッピーエンドで終了します。
(もし御感想など頂けるなら、小躍りして喜びます)