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余次元住まいのハザマ様! part6 ― 業深き画家の家系 編 ―  作者: 山桃


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9/17

カブトムシ養殖場での密会

アトリエで根を詰めて卒業制作に取り組んでいた私は、少し気分転換をしようと、彫刻科の裏手にある『カブトムシの養殖場』へ足を向けた。


彫刻で使われなくなった廃材を朽木(くちき)にし、カブトムシを育ててお小遣い稼ぎをしている学生がいるのだ。


そこは静かで景色も良く、私にとってはお気に入りの場所だった。


しかし、今日ばかりは違った。 ふと視線をやると、見覚えのある二人が彫刻科の裏で身を寄せ合い、こそこそと密会しているではないか。


――雨宮さんと、坂井さんだ……。


遠くてはっきりとは聞こえなかったが、坂井さんが雨宮さんの肩に腕を絡ませ、すがりつくようにして囁くのが見えた。


「ごめんなさい。それとなく動くよう頼んでみたんだけど、ダメだったわ」


「もういいよ。自分でなんとかする。……あれから、事は簡単になった。あの天然のお姫様さえ落とせば良いんだ。あの月島の家に入り込むより、ずっと簡単だ」


「でも、あの子には婚約者がいるのよ? そう簡単には落ちないわ」


すると雨宮青児は、坂井さんの髪を撫でながらフッと余裕の笑みを浮かべた。


「僕がこれまで、何度修羅場を潜り抜けてきていると思う?」


「……そうね。青児さんに言い寄られて、落ちない女の子はいないもんね」


―――えっ? 天然のお姫様って、私のこと…!?……雨宮さん、やっぱりあの絵を狙っているんだ……


あの臙脂色のドレスの女性の絵は、私の大事な宝物なんだもん。

ぜっっつたいに、この男の手なんかには渡さない。 私を利用しようとしているなら、逆にハメ返して意地でも守り切ってみせる!


―――私は帰宅後、あの宝物の絵を家の蔵に深くしまい込み、しっかりと鍵をかけた。


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