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余次元住まいのハザマ様! part6 ― 業深き画家の家系 編 ―  作者: 山桃


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接近する雨宮青児

学食でお昼を食べていると、斜(はす)向かいに、ハザマ様似のあの学生が座って話しかけてきた。


やはりハザマ様に似て低く、とても静かな声……。うっかりすると耳が孕(はら)みそうだった。

「あの、僕は油絵科、三年の雨宮(あまみや)青児(せいじ)といいます。貴女は月島(つきしま) 秀青(しゅうせい)という人と親しかったと聞いたのですが」


「えぇ、二年前の話ですけど。どうかされましたか?」


「彼の家と、交流がありましたか?」


「それなら! この間も、月島家に用事があって行きましたよ」


それを聞いた彼ははっとした表情をし、目を伏せた。

「……そうなんですね、今でも交流がある……」


「あの、お時間のある時で結構ですので、貴女とゆっくりお話してみたいです。今日はこれで……では、また」


そう挨拶をすると、彼はトレーを下げに行ってしまった。 私は、雨宮さんと「月島家」になんらかの深い関係がありそうだと確信した。


*****


学校の授業が終わると、室生の本家の方に行ってみた。 私は御影様の婚約者であり、お役目候補にもなったことで、顔パスで本家に出入りできる。

本家への敷居はずいぶんと低くなりつつあった。


「ハザマ様〜、ちょっとお聞きしたいことが……」


部屋を覗き込むと、あっ、婚約者の美麗(みれい)さんがいた。


「すみません、お邪魔のようなのでまた今度にします……」


遠慮して引き返そうとすると、美麗さんが優しく声をかけてくれた。


「私は初音さんがいても構わないわよ? お茶を出すから、座っていって」


そう引き留められたので、遠慮なくお邪魔させていただくことにした。 ハザマ様は察しが良い。こちらが説明するまでもなく本題に入ってくれる。


「あいつが、接触してきたか?」


「ええ。ハザマ様にとても似ていて、月島家に関係する方だと思うのですが……」


「異母兄弟なんだ」


「あぁ、やっぱり。すると、お父様似なのですね?」


「父は稀代の色男で女好き、女たらしでな。母がとても苦労したよ。二ヶ月前に亡くなったんだがな」


(なるほど。顔だけでなく、女好きで女たらしなところまで遺伝してそっくりなのか……)


私が心の中で密かにそう思った瞬間――ハザマ様はキッと私を睨みつけてきた。


「私の今の体は、美麗しか知らないぞ!」


突然声を荒らげたハザマ様に、ちょうどお茶を運んできた美麗さんが驚いている。


「……? なんで、急にそんなことを初音さんに言うの?」


ごめんね、美麗さん。私とこの人の間には、水面下でいろいろなやり取りがあるの……。


*****


私が御影様のところに行って甘えようとすると、彼は深刻そうな顔で切り出した。


「悲しいお知らせがある。暫くベトナムへ、レアアースの鉱脈探しに行く……」


「えっ、会えなくなるなんて寂しいです。どれぐらいかかりますか?」


「わからん。鉱脈を見つけても、本当に商品化できるような品質なのか調べるのに時間がかかるし……」


「うぅ……私も御影様に貞操帯はめても良いですか?」


「はあ!? 俺の不貞を疑ってるんだな? いいか、俺が初音に装着させたのは理由が違うんだぞ!」


御影様はムキになって怒り出した。

「頭に来た! 貞操帯の鍵を美麗さんに預けていこうかと迷っていたが、俺が持ってベトナムに行く!」


「えぇっ! そんなぁ〜! 万が一、御影様が乗ってる飛行機が落ちたら、私は一生装着したまま過ごすことになるじゃないですか〜!」


「縁起でもないこと言うなぁーっ!!」


こうして、バカップルの騒がしい夜は過ぎていった。


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