予知する二人と貞操帯
この物語は『余次元住まいのハザマ様! ーハザマ編ー』の続編となっており、人間関係はハザマ編を読んでいただけると、なお一層理解が深まります。
室生 初音 : 地方の芸大4年生
室生御影: 初音の婚約者 霊的能力を持つ
ハザマ様 =室生 透青
室生家の巫覡をしている。
中の人は月島秀青で芸大の助手をしていた
帰宅し、シャワーを浴びてから部屋に戻ると、なぜか御影様が私の部屋にいる。驚く私に、彼は口を開いた。
「ついこの間から嫌な予感がして、我慢しきれず来てしまった」
「これ、Amazunで買ったんだが……初音に身につけておいて欲しい。身を守るためのものだ」
そう言って、彼は箱から何かを取り出し始める。
霊的な能力がある彼のことだから、私の身に何かよくないことでも起こると感じ取ったのだろう。
「御影様、護身用ならスタンガンを持っていますが……」
「スタンガン以外のものだ。初音、シャワー浴びてきたんならちょうど良い」
そう言って半ば強引に装着させられたものは
――貞操帯だった。
「なんですか、これは!?」
「十字軍に遠征する夫が、妻が不貞を働かないように装着させたものだ」
「いえ、物の意味とかそういう歴史の質問ではなく! 私が不貞を働くと疑っていらっしゃるのですか?」
怒りを我慢しながら問い詰めると、御影様は真顔で答えた。
「初音が浮気をする・しないは関係ない場合もあるだろ。男の腕力に対抗できるっていうなら、外してやんよ」
「あっ……」
嫌な予感がした。前にも強引に襲われそうになったことがあったから、ここは大人しく貞操帯を装着しておこう……。
*****
日曜日。室生本家に遊びに行く。
一番の目的は御影様に会うためだけれど、今日はハザマ様からも「お願いがある」と呼ばれていたので、まずは彼のもとへやって来た。
ハザマ様のお部屋に通され、出されたお茶をいただいていると
――不意にハザマ様が私の下半身を見て、必死に笑いを堪え始めた。
あぁ、服の上からでも透けて見えているのか。千里眼ってほんっとうに嫌。見られたくないところまでしっかり見てくるんだもん。
「何がおかしいのですか! 御影様は私の心配をして着けさせたのです!」
抗議するように言うと、ハザマ様はにっこり笑って頷いた。
「いや、それ、本当につけておいた方がいいぞ」
「やだなぁ。前みたいな強姦未遂がまた起こるっていうのですか?」
「いや、なんというか……それほど乱暴なことはされないだろうが、雰囲気やムードに流されたり、その場の成り行きで押し倒されることもあるからな」
「……しかし、御影も勘がいいなぁ。やっぱりあい
つ、予知能力あるのかな」
ハザマ様の不穏な独り言に戸惑いつつも、私は呼び出された用件を思い出した。
「あの、私にお願いがあるとお聞きしましたが?」
「そうだった。私と一緒に月島の家に行って、絵を持ち出すのを手伝ってもらえないか? ただ持ち出すだけなら美麗に頼めば良かったんだが、後々の事を考えると、初音に頼んだ方が良いんだ」
絵って……秀青さんが昔、描いたものなのかな?




