あの方によく似た人
この物語は『余次元住まいのハザマ様! ーハザマ編ー』の続編となっており、人間関係はハザマ編を読んでいただけると、なお一層理解が深まります。
室生 初音 : 地方の芸大4年生
室生御影: 初音の婚約者 霊的能力を持つ
ハザマ様 =室生 透青
室生家の巫覡をしている。
中の人は月島秀青で芸大の助手をしていた
私は大学4年生になり、ただひたすら卒業制作にエネルギーを注いでいた。
世間の大学では論文というものを書くらしいが、私の通う大学は美術系なので、卒業制作が論文の代わりになる。
『化学・芸術概論』と『修復学』の授業に出ると、そこにいるある男子生徒にどうしても目が行くようになってしまった。
――既視感。似ている……。
誰に?
ハザマ様に。
でもよく見ると、やっぱり違う。
ハザマ様は直毛だけど、その男子生徒の髪はカールがかかっていて、緩い天然パーマだった。
長い前髪で、意図的に目を隠している。
しかし骨格とか、顔の作りが本当によく似ている。
――ハザマ様の出自である月島家は、お父様が出て行ったと聞くから、異母兄弟ではないだろうか?
そう思わずにいられないほど、彼はそこはかとなくハザマ様に似ていた。
アトリエに戻ると、同じ『化学・芸術概論』をとっている同級生の坂井さんが話しかけてきた。
「初音ちゃん、あの授業で月島さんにそっくりな人いるよね?」
やっぱり私以外の人もそう思ったんだなぁと思いながら、私は答えた。
「ああ、うん。居たね。思わず見入っちゃったよ」
坂井さんは含みをもった言葉を私にかける。
「彼のこと、狙う?」
やっぱりそういう風に思われちゃうよね……。
「もう、月島さんのことは自分の中で吹っ切れてて、今は別の人とお付き合いしてるから、坂井さんは遠慮なく狙っていいよー」と、冗談めかして言った。
すると他の同級生も会話に参加してきて、
「え〜、どこで知り合ったの?」
と聞いてくる。
「アルバイト先で! 思いがけず、まさか好きになるとは思ってもいなかった人を好きになったの」
と、私は笑いながら答えた。




