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余次元住まいのハザマ様! part6 ― 業深き画家の家系 編 ―  作者: 山桃


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二つの指輪と貞操帯の鍵

ハザマ様と惟光(これみつ)さんが、ずぶ濡れになってまで見つけ出してくれた婚約指輪。

だからどうしても捨てられず、鎖を通して首にかけている。 御影様と私のとで、合わせて二つ。


同級生には「二つもぶら下げてどうしたの?」と聞かれるが、「自分の経験値を皆さんにお知らせしようと思って」などと強がって誤魔化している。


婚約破棄されたのだから、もう貞操帯はしなくていいと思ったので、美麗(みれい)さんに「鍵を渡してほしい」と連絡を入れた。


しかし、美麗さんからの返信は絶望的なものだった。

『鍵は御影様にお渡ししたわ。秀青さんが

「そうすれば丸く収まる」とお話しされていたからよ』


(なにぃーーー!? 終わった、私の人生終わったわ……今度は貞操帯の鍵を池に放り込まれるわ……!)


がっくりと肩を落としていると、同級生が声をかけてきた。「室生さん、お兄さんが来てるよ! ほら、あそこ!」


以前、御影様が同級生に自己紹介した時、私と同じ「室生」姓だったため、兄だと勘違いされたままなのだ。


「え? 何処に?」


私が視線を彷徨わせると――ギャラリーの奥、蒼穹大賞受賞作の目の前で、ぷるぷると震えながら絵を鑑賞している御影様の姿があった。


(やっば、逃げよう!)

踵を返そうとした瞬間、彼はくるりとこちらを向き、完璧な営業スマイルで言った。


「初音、探したぞ?」


こっわ。営業スマイル、こっわ。


「あ、初音ちゃんのお兄さん、お久しぶりです」


「やあ、いつも初音と仲良くしてくれてありがとう!」


無邪気な同級生が、さらなる爆弾を投下する。

「この蒼穹大賞の絵のモデル、初音さんですよね?」


こらこらこらこら、余計なこと言うんじゃない。


「ははは、初音。随分と破廉恥なことやってんだな」


御影様、絶対、心の中では一ミリも笑ってないやろ……。


「初音、家まで送ってやるよー」

彼は努めて明るく、恐ろしいほど爽やかに振る舞っていた。


「は、はい。ありがとうございます……」



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