天才は富士山のごとく
ある日、動画サイトを見ていると、文化人であるオカダ トシオさんがこんな話をしていた。
天才漫画家や天才アニメーターを例に挙げ、天才とは、遠くから眺める分には
『富士山のようにスッと立っていて本当に綺麗』
だけれども、実際に近づいてみると山道は険しく、個性が強くて気難しい。仕事においても非常に厳格であるという、天才特有の「厄介さ」について語っていたのだ。
富士山に例えられるなんて、日本人としては光栄なことかもしれないが、周囲の人間からすれば大変な迷惑を被ることになる。
月島家と雨宮家は、まさにその天才の『業火』で焼かれたのだ。
雨宮さんの過酷な生い立ちを鑑みれば、彼がああいう性格に歪んでしまったとしても、誰も責めることはできない。
そしてなぜか、私はいつもそういう過酷な環境で育った人たちから、「お前を見ているとイライラする」と言われてしまう。
嫌なら私を避けてくれればいいのに、彼らは決まって、私の持つ何かに吸い寄せられてくるらしいのだ。まるで、磁石のN極とS極みたいに。
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月山青湖の追悼展は盛況のうちに幕を閉じた。
絵の搬出を終え、ギャラリーの後片付けをして帰ろうとした時のことだ。
外に、見覚えのある車が停まっている。
その車に腕組みをしてもたれかかり、顔を伏せている男性がいた。
――御影様だ!
しかし、彼はこちらに顔を向けようともせず、ただ視線だけを鋭くこちらへ滑らせた。元々切れ長の目が、今はナイフのような冷たさを湛えている。
その恐ろしい目つきといったら!
射抜くようにギロッと睨みつけられ、私は怖くて一歩も近づくことができなかった。
私がその場に竦んでいると、背後から雨宮さんが「どうかしたの?」と声をかけてきた。
やばい!!
逃げなくては! このままでは雨宮さんまで何をされるかわからない!
そう思って走り出そうとした瞬間――私はあっという間に御影様に捕獲され、そのまま車に押し込まれて室生のお屋敷へと連行されてしまった。




