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双鏡の君へー姿を変える幼馴染との恋と、残したい記憶ー  作者: ゆら。


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第七十九話 自然すぎて言葉にならない

机を寄せる音。


AB「詰めろ詰めろー」


弁当が並ぶ。


ペットボトル、箸、購買のパン。


琴葉が腕を机に置く。


少し遅れて、敦の腕がその内側へ滑り込む。


腕と腕が交差して小さなひし形が出来る。


自然な配置。


ただ座りやすい角度。


A(……あれ?)


B(見るな)


A「見てねぇよ」


敦「なに」


A「なんでもねぇ」


本人達だけ通常。


箸の音と他愛ない会話が続く。


A「ちょっと飲み物買ってくるわ」


B「俺も」


椅子が引かれ、二人が立ち上がる。


机の一角がふっと静かになる。


残ったのは、敦と琴葉だけ。


教室の音が、少し遠くなる。


敦「それ筑前煮?」


琴葉「昨日の残り。食う?」


敦「食う」


弁当箱が少し寄る。


敦の足が机の脚に当たる。


そのまま、押すように椅子が少し寄った。


意識した様子はない。


琴葉も自然に体の向きを変える。


敦「うめぇな」


琴葉「昨日のだから味が染み込んでる」


ふと、琴葉が腕を置き直す。


空いた場所に、自然に敦の腕が入る。


当然みたいな顔で。



――数分後。


A「ただいまー」


B「売り切れてたわ」


ABが戻った瞬間。


敦「遅ぇよ」



A(……戻った)


B(戻ったな)


さっきまでの距離が、なかったみたいに。



昼休みの騒がしさが、元通り教室を満たした。


本人達だけ、最後まで普通だった。


数秒後。


琴葉が無意識に腕を机に置く。


肘同士を避けるみたいに


二人の腕が斜めに重なる。


……誰も、何も言わない。


A、箸を止める。


B、視線だけ下げる。


A……これさ


B(言うな)


Aいやでも


B(まだ確定じゃない)


敦「さっきからなんだよ」


A「いや別に」


琴葉「?」


少し間。


Aが小声で。


A「……近くね?」


B「昔からだろ」


A「いや、最近なんか」


敦「何だ?」


B「気のせい」


ここまで読んでいただきありがとうございます。


言ったら崩れます。


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