第七十八話 男の修行 最後に残るのは覚悟だけ
ある日の夕方。
学校帰りの敦のスマホに、見覚えのある番号から着信。
敦「……琴葉のお父さん?」
電話の向こうから、低く落ち着いた声。
琴葉父『敦くん。
最終修行の時間だ。
公園の奥に来い。
――腹を括っておいてくれ。』
敦(腹……!?何するつもりなんだ……)
■2 静まり返る公園。
琴葉父はベンチに座り、夕陽に照らされていた。
クールな雰囲気が、妙に“物語のラスボス”みたいだ。
琴葉父「来たか。」
敦「はい……」
琴葉父はゆっくり立ち上がると、懐から“長い袋”を取り出した。
敦(……刀!?いや違う、槍の柄?いや木刀?いやでも重厚感が……)
琴葉父「これは、琴葉の曾祖父が使っていた“厳格な家訓棒”だ。」
敦(家訓棒!?なんだその家系!!)
父はそれを軽く握り、
ゆっくりと敦の肩にトン、と置いた。
琴葉父「敦くん……覚悟はあるか?」
敦(人生最大の緊張……!)
■3 恋のための“体力テスト”
琴葉父「恋愛は体力だ!!!」
① 砂場を全力ダッシュ3周
② ブランコ100回こぎ
③ 滑り台を逆走(※禁止事項)
敦「いや何この試験!?罰ゲーム!?」
琴葉父「今のうちに鍛えておけ!!
琴葉が女型の時は荷物重いぞ!!!」
敦「リアルな理由!!」
■4 “家訓棒”が真の姿を現す
琴葉父「……では最終試練だ。」
父は棒の先をカチッと捻った。
すると中から――
巨大な模造紙にでかでかと書かれた
『俺の琴葉を幸せにする宣言書』
琴葉父「男なら書け!!」
敦「字でかッッ!!
書くスペースが玄関マットくらいある。」
敦「あの、これ…どこに提出を……?」
琴葉父「もちろん妻だ!!」
敦「一番危険なところに行くじゃないですか!!!」
敦(……覚悟を試されてる。いや…でも。)
敦は小さく息を吸い、
震える字で――しかし迷いなく書いた。
琴葉父はそれを静かに巻き取り、
ゆっくりと頷いた。
琴葉父「……合格だ。」
敦「え……」
琴葉父「これで“清水家公式・恋人候補”として認める。」
敦「候補!!まだ候補なんですね!!?」
琴葉父「本命になるかどうかは、これからの君次第だ。」
敦(言うこと全部イケメン……!)
■6 琴葉父のラストメッセージ
琴葉父は帰り際、
夕陽の中でふと振り返った。
琴葉父「敦くん。」
敦「はい?」
琴葉父「……琴葉を頼む。」
敦、固まる。
一拍。
敦「……え、いや、あの、」
沈黙。
敦「……はい。」
言ったあと自分で驚く。
だが琴葉父の表情が、ほんのわずか柔らかくなった。
琴葉父「……君なら大丈夫だと、ずっと思っていた。」
敦(……くそ……泣くわこれ……)
ここまで読んでいただきありがとうございます。
ふざけて終わらせてくれません。




