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双鏡の君へー姿を変える幼馴染との恋と、残したい記憶ー  作者: ゆら。


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第七十七話 無意識の方が正直だった


夕方。


帰り道。


二人並んで歩いている。


会話は、どうでもいい話だった。


琴葉「今日さ、先生チョーク投げすぎじゃね?」


敦「お前が寝てたからだろ」


琴葉「目閉じて考えてただけだし」


敦「完全に寝顔だったぞ」


琴葉「マジで?」


敦が小さく笑う。


その時。


横断歩道の前で、琴葉が一歩だけ離れる。


人が増えたから。


ただ、それだけ。


――のはずなのに。


敦の足が、止まる。


(……あ)


理由は分からない。


でも体が先に動いた。


無意識に、半歩だけ詰める。


信号が青になる。


歩き出す。


並ぶ。


その瞬間。


胸の奥に、妙な静けさが落ちた。


(……これ)


敦、歩きながら小さく息を吐く。


(……俺か)


隣を見る。


琴葉は何も知らない顔で信号機を見ている。


琴葉「なぁ敦」


敦「ん?」


琴葉「今日コンビニ寄る?」


いつも通りの声。


いつも通りの距離。


なのに。


敦だけが分かってしまう。


――離れると、落ち着かない。


敦「……寄るか」


短く答える。


それ以上は言わない。


ここまで読んでいただきありがとうございます。


先に体が答えました。

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