第七十四話 男の修行 準備なしでやらされる
前回の“山岳修行”から数日後。
玄関を出た瞬間、また琴葉父に呼び止められる敦。
琴葉父「敦くん……今日は“恋愛修行”だ。」
敦「嫌な予感しかしません。」
◆修行1:沈黙の間を制す
琴葉父は突然、敦の目の前に立って無言で目を見る。
敦「え、えっ……なんですか……?」
琴葉父「これが“沈黙の圧”だ。」
敦「ただの圧迫ですよ!?恋愛じゃない!」
琴葉父「女の子は沈黙の間で相手を見る。
心を読む。
琴葉は特にだ。」
敦「……なるほど、琴葉は確かに観察力あるけど……
なんでこんな至近距離でやるんですか!?」
◆修行2:褒め言葉の練習
琴葉父はノートを開く。
表紙には「モテる男心得・父Ver」と書いてある。
敦「それも琴葉母の方向性と似てる……!」
琴葉父「では言ってみろ。“今日の琴葉”を褒める言葉を。」
敦(くっ……真面目にやるの恥ずかしい……でも……)
敦「……琴葉、今日も……その……可愛いかった……です。」
琴葉父「小さい!声が小さい!!」
敦「無理なんですってこういうのォ!!」
琴葉父は突然、スマホで録音を始める。
敦「録るなぁぁぁ!!!」
◆修行3:実戦
琴葉父「……では実際に琴葉で練習するぞ。」
敦「は!?今ぁ!?」
敦「心の準備が!ってか練習って本人に!?」
敦の叫びも虚しく、そのまま家に連れていかれる。
部屋で宿題していた琴葉(男型)が顔を上げる。
琴葉「あれ?敦?どうしたの?」
父は背中を押す。
敦「きょ、今日の琴葉……その……可愛い……ぞ……?」
琴葉「あ!?この姿の時に言う?⋯なんで!?急に何だ!?なにがあった!?」
琴葉父は満足げに腕を組む。
琴葉父「……50点だな。」
敦「高いのか低いのか微妙!!」
琴葉「なにこれぇぇぇ!!?」
ここまで読んでいただきありがとうございます。
準備する時間はありません。




