第六十四話 たまに起きるから意味がある
昼休み。
琴葉が不自然にゆっくり歩いている。
敦「……何してんだ」
琴葉「いや……その……」
琴葉、わざとらしく靴ひもを踏む。
琴葉「……あ」
三秒待つ。
敦「自作自演すんな!!」
琴葉「早い!!」
A「狙ったな」
B「露骨すぎる」
ーー琴葉、次の案
琴葉、机に突っ伏す。
琴葉「……敦……」
敦「今度は何だ」
琴葉「なんか……今日……元気出なくて……」
チラッ(上目遣い)
敦「ツッコミ誘発すんな!!」
琴葉「違っ……!」
敦「その“間”がもう罠なんだよ!!」
ーー琴葉、次の次の案
琴葉、プリントを持って来る。
琴葉「敦、これ分からない」
敦「どこ」
琴葉「全部」
敦「雑すぎ!!」
琴葉「前は優しく教えてくれただろ!!」
敦「あれは事故だ!!」
A「⋯なぁ、琴葉」
B「その顔さ」
A「“優しい敦を引き出そうとしてる顔”だよな」
琴葉「バレてる!?」
B「逆に警戒心MAXだわ」
琴葉、普通に歩く。
何も起きない。
敦「……今日は平和だな」
琴葉
その瞬間、琴葉がつまずく。
琴葉「わっ」
敦の手が、反射で伸びる。
一瞬、腕を掴む。
すぐ離す。
敦「……前見ろ!!」
琴葉「……今の、優しくなかったな」
敦「なるわけねぇだろ!!」
琴葉(支えたのに……惜しい)
琴葉「……じゃあさ」
敦「何だよ」
琴葉「どうやったら、あの優しい敦、出るんだ?」
敦「出そうとすんな!!」
A「自然発生限定」
B「低確率レア」
琴葉「ガチャか……」
敦「システム扱いするな!!」
琴葉「でも当たった時、ヨッシャーってなる」
敦「だから狙うなって!!」
琴葉
琴葉(独り占め欲だったわ)
ここまで読んでいただきありがとうございます。
一人だけが知っていれば、それでいいのかもしれません。




