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双鏡の君へー姿を変える幼馴染との恋と、残したい記憶ー  作者: ゆら。


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第五十二話 任せるという選択

 

その夜。


琴葉父が静かに敦を呼ぶ。


琴葉父「敦くん。少し話そうか」


さっきまでの喧騒が、急に現実味を失った。


敦(うわああきた……!!)


母と琴葉は廊下でこっそり聞き耳を立てている。


居間。


琴葉父は湯呑みを置き、ゆっくり敦を見る。


琴葉父「……琴葉のことだが」


敦「はい……っ」


琴葉父「琴葉は……強くない。

    ……だから、強い人間が必要なんだ」


敦「……俺……そんな強くないですよ」


琴葉父「謙遜はいい。

    あの子が……君の前で泣けた。

    それだけで十分だ」


敦「……っ……!」


敦の胸が一瞬止まる。

 

琴葉父の目が優しく細くなる。


琴葉父「感謝してる」


敦「……え」


琴葉父「琴葉が“自分じゃなくなる”と怯えたとき、君が止めてくれた……ありがとう」


敦は背筋を伸ばし、真剣に答える。


敦「俺……

 琴葉が泣くのも崩れるのも……見たくないです」


沈黙。


琴葉父は、しばらく敦を見ていた。


それから、湯呑みを持ち上げる。


琴葉父「……そうか」




琴葉(小声)「……そんな言葉……聞いたら……」


琴葉母(小声)「お父さん……優しさの質がずるい」 


ここまで読んでいただきありがとうございます。


引かない理由だけが、残ります。


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