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第五十話 温度だけが戻らない
翌朝、教室。
琴葉はいつも通り座っている──はず。
敦が入る。
琴葉「……おはよ、敦」
声は普通。
だけど肩の力が抜けて、微かに柔らかく響く。
敦、心臓が跳ねる。
(……昨日の余韻が……まだ残ってやがる……!!)
敦「……おはよ」
声、なんとか平静を保つ。
琴葉は机に頬をつけて、小さく微笑む。
琴葉「……昨日はありがとな」
敦、動けない。
敦(落ち着け俺!!)
敦「……お……おぅ」
周囲はなんてことない。
授業が始まる気配。
先生も黒板もいつも通り。
琴葉と敦の間だけ、世界が少し止まったみたいだった。
琴葉は何事もなかったようにノートに目を落とす。
敦だけが机の下で拳を握りしめていた。
変な気配。
琴葉「……敦?」
敦「な、なんでもねぇ!!」
ここまで読んでいただきありがとうございます。
内側だけ、残り続けます。




