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双鏡の君へー姿を変える幼馴染との恋と、残したい記憶ー  作者: ゆら。


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第三十九話 内容より残る時間


――翌朝・通学路


駅前。


人の流れに混ざって歩く敦。


ふと視線が止まる。


映画館の壁一面の巨大ポスター。


炎。

崩れる街。

剣を構える主人公。

背後で爆発。


敦「……」


足が止まる。


敦「……これ、日曜の?」


少しだけ、

日曜日の暗闇が頭をよぎる。


後ろから声。


琴葉「おはよー」


振り向くと琴葉。


いつもの距離感。


いつものテンション。


琴葉もポスターを見る。


数秒。


ポスターと、

互いの顔を見比べる。


琴葉「……」


敦「……」


同時に。


敦・琴葉「こんな映画だったの!?」


琴葉、ポスターに近づく。


琴葉「え、待って待って」


敦「どうした」


琴葉「世界滅びかけてる」


敦「俺ら“成長物語”って評価してたぞ」


琴葉「静かな人間ドラマだと思ってた」


敦「爆発してるわ!!」


琴葉、腕を組んで真剣に考える。


琴葉「じゃああの感動シーン」


敦「どれだよ」


琴葉「存在しなかった可能性ある」


敦「全部幻じゃねぇか」


ポスター下のキャッチコピー。


“最後の戦いが、世界を変える。”


二人、読む。


沈黙。


琴葉「……手の戦い?」


敦「規模小さすぎるだろ」


琴葉「俺たち的にはクライマックスだった」


敦「否定できねぇのが腹立つ」


少し歩き出す。


琴葉「でもさ」


敦「ん?」


琴葉「ちゃんと観てたらさ」


敦「おう」


琴葉「たぶん普通の映画だったよな」


敦「……まぁな」


琴葉「覚えてないから、逆に面白かった説ある」


敦「最低の鑑賞スタイルだな」


歩きながら。


琴葉「じゃあさ、もう一回観る?」


敦「また手遊び始まるだろ」


琴葉「今回は反省してる」


敦「信用値ゼロ」


信号待ち。


少し沈黙。


琴葉がぽつり。


琴葉「……でもさ」


敦「?」


琴葉「日曜のことは覚えてる」


敦「……映画以外な」


琴葉「うん」


少しだけ笑う。


琴葉「なんか、外でも普通だった」


敦は答えず、ポスターをもう一度見る。


炎の中で並ぶ男女。


敦「……まぁ」


少し歩き出しながら。


敦「内容より残る日もあるだろ」


琴葉「おぉ、名言」


敦「違う!!今のは違う!!」


朝の人混みに紛れながら、

二人はそのまま学校へ向かった。


いつもと同じ距離で。


――少しだけ、

意識しながら。



ここまで読んでいただきありがとうございます。


残るものは、だいたいそっちです。

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