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双鏡の君へー姿を変える幼馴染との恋と、残したい記憶ー  作者: ゆら。


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第三十五話 変わっていないのに違う


朝。


カバンをドン、と机に置く。


琴葉「おはよー」


敦「よ」


声も顔も、完全にいつも通り。


敦(……普通だな)


昨日。

暗い映画館。

絡んだ指。


――同一人物とは思えないくらい、普通だ。


少し迷ってから、

敦は机の横で手を出した。


敦「琴葉、手」


琴葉「ん?」


理由も聞かず、

ぽすっと重ねてくる。


自然。

ためらいゼロ。


敦(……昨日と同じだ)


同じ手。


同じ距離。


なのに。


自分だけが落ち着かない。


琴葉「なに?」


敦「いや」


琴葉「変なやつ」


笑って席へ戻る。


離れた手を、

敦は一度だけ見る。


少しして。


琴葉が机に寄ってきて、

声を落とす。


琴葉「……なぁ敦」


敦「ん」


琴葉「昨日のこと、怒ってる?」


敦「……怒ってねぇよ」


即答。


少し間。


敦「……ただ、変に気になっただけ」


琴葉「俺を?」


敦「だからそういうのいいから」


視線を落とす。


それ以上言わない。


琴葉は一瞬黙って――


本を持ち上げ、顔を隠す。


(……気にしてたんだ)


理由は分からないのに、

口元が緩む。


ここまで読んでいただきありがとうございます。


同じでも、同じには感じません。

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