第二十一話 意味だけが置いていかれる
昼休み。
購買人気パン戦争を奇跡的に生き残った敦は、
席に戻ってようやく袋を開けた。
敦「……よし」
その瞬間。
琴葉「一口ちょうだいー」
敦「早ぇよ!!」
まだ食ってねぇ。
開封しただけだ。
琴葉はもう手を出している。
許可を待つ姿勢ゼロ。
敦「……ちょ、待て。せめて俺が最初に――」
もぐ。
琴葉「んー、うま」
敦「聞けよ!!」
一番うまい端っこ。
迷いなく消えた。
琴葉「はい、返す」
返ってきたパン。
かじり跡。
敦「……」
一瞬だけ止まる。
それを見ていたCがニヤッとする。
C「それさ」
敦「なんだよ」
C「間接キスじゃん」
――静止。
周囲「おー」
敦「は???」
一気に顔を上げる。
敦「いやいやいや!!
一口ちょうだいとか普通にあるだろ!?」
A「あるけど」
B「なんで敦だけそんな反応なの?」
敦「してねぇよ!!」
即答。
声デカい。
クラス「www」
C「いや今の完全に過剰反応だろ」
敦「過剰じゃねぇ!一般的反応!!」
A「一般的もっと静か」
笑い。
琴葉、首をかしげる。
琴葉「今更間接キスで騒ぐの?」
敦「お前言葉のチョイス間違ってる!」
敦「違う意味で広がるだろそれ!火に油なんだよ!!」
クラス爆笑。
B「ほら気にしてんじゃん」
敦「気にしてねぇ!!」
C「じゃあ普通に食えよ」
敦「食うわ!!」
勢いよく持つ。
止まる。
(……どこからだ)
クラス、静かに見守る。
敦「見るな!!」
A「いや今いいとこ」
敦「映画じゃねぇ!!」
意を決して、
かじり跡の反対側から小さくかじる。
C「あ、逃げた」
敦「逃げてねぇ!!戦略だ!!」
琴葉「?」
本気で分かってない顔。
琴葉「敦、なんで今日そんな面白いの?」
敦「ネタを投下したのお前らだからな!?」
笑いが広がる。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
誰かが気づくと、それはもう同じじゃありません。




