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双鏡の君へー姿を変える幼馴染との恋と、残したい記憶ー  作者: ゆら。


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第十九話 最初から隣にいる


昼休み。


教室の隅。


敦は、琴葉をちらっと見る。


机に肘をつき、ぼんやり前を向いている。


窓の外なのか、何も見ていないのか、判別のつかない顔。


敦(……今なら)


茶化されない。


そう思って、足を止めずに行く。


敦「なぁ、琴葉」


琴葉「んー?」


敦「俺さ……」


一拍、置く。


敦「お前のそばに、昔からいた?」


琴葉は、少しだけ考える。


琴葉「……うん。だいたい」


敦「だいたい?」


琴葉「俺が困ると、敦が来る感じ」


敦「来てた?」


琴葉「来てた」


即答。


敦「……へぇ」


琴葉は首を傾げる。


琴葉「なんで?」


敦「いや……」


言葉が続かず、口を閉じる。


琴葉「変なの」


敦「お前に言われたくない」


琴葉は気にせず、また前を見る。


琴葉「敦ってさ」


敦「ん?」


琴葉「近くに置いてある感じ」


敦「……言い方」


琴葉「違う違う。

最初から、そこにいる感じ」


……ああ


それだけで、胸の奥が静まる。



その夜。


家の物置。


理由もなく、古いアルバムに手が伸びた。


ページをめくる。


幼稚園。


小学校。


色の抜けた写真。


——どれにも、琴葉がいる。


……違う。


どれにも、


自分が、琴葉の隣にいる。


次のページ。


泣いている琴葉。


立ち尽くす自分。


それでも、掴まれている手首。


……あ


さらに。


運動会。


発表会。


遠足。


全部、隣。


敦(……いつから、じゃない)


少しだけ、息を止める。


敦(……最初から、か)


言った瞬間、

なぜか落ち着かなくなってページを閉じる。


敦「……いや」


アルバムを棚に戻す。


敦「確認しただけだし」




布団に入っても、眠れない。


昼の声が、浮かぶ。


『だいたい』


『来てた』


『最初から、隣』


敦(……そりゃ、言うよな)


小さく、息みたいに。


敦(忘れられるの、嫌だって)


忘れられたくないという琴葉の感情だけを胸に残して、それ以上は触れずに、日常へ戻った。


——今は、それで十分だった。


ここまで読んでいただきありがとうございます。


最初からそこにあるものほど、理由を考えません。

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