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第十七話 それが何かは分からない
一日が終わる。
敦はタオルで髪を拭きながら、ベッドに倒れた。
敦「……ふぅ」
天井。
少しだけ、瞬き。
――浮かぶ。
琴葉の声。
琴葉「……忘れられたくない」
胸の奥が、きゅっと鳴る。
敦はタオルを顔にかぶせる。
深く息を吐く。
敦(……俺、今――)
言いかけて、やめる。
タオルを外す。
天井に視線を戻す。
敦
答えは、来ない。
代わりに、
あの時の目だけが残る。
黙って、目を閉じる。
少しして、また開ける。
敦「……寝るか」
そう言って、照明を消す。
暗闇。
胸の奥に、何かが沈む。
名前のつかないまま。
ずっと前から、そこにあったみたいに。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
名前をつけないままの感情も、確かにそこにあります。




