第百三話 思い出すたびに限界が来る
琴葉(いやだ……ここ……いやだ……
昨日の夜の記憶が邪魔で制服脱げねぇ……)
シャツのボタンに手をかけた瞬間。
――敦の胸に顔うずめた感触、再生。
琴葉「っっっ!!!?」
バンッ(ロッカーに頭)
友人A「琴葉!?大丈夫か!?」
琴葉「大丈夫!!問題ない!!
問題しかねぇけど!!」
友人A「どっちだよ」
体操服を取ろうと腕を上げる。
――腰に回された手の記憶、再生。
琴葉「あ゛ーーーッ!!!」
友人B「今日どうした!?」
琴葉「記憶が!!フルHDで再生されんだよ!!!」
友人B「知らねぇよ」
そこへ敦。
敦「……騒がしい」
琴葉「来るな!!」
敦「まだ何もしてない」
琴葉「存在が刺激物!!」
友人A「お前ら朝から仲良いな」
琴葉「違う!!!」
友人たちは先に行く
敦、少しだけ近づく。
敦「……顔赤い」
琴葉「運動前だから!!」
敦「まだ着替えてないけど」
琴葉「うるせぇ!!」
敦、ロッカーを開けながらぼそっと。
敦「次は止めない」
琴葉「ッ!!」
敦、少しだけ琴葉の方に身を乗り出す。
声は低いまま。
敦「軽くないって言ってんだ」
琴葉、停止。
敦「俺は分かってやってる」
琴葉「……」
敦「お前もだろ」
琴葉、限界。
バンッ。
ロッカーに頭
琴葉「無理!!!!!」
敦「何が」
琴葉「全部だ!!」
敦「具体的に」
琴葉「言わせるな!!」
敦、満足そうに目を細める。
敦「昨日より可愛い」
琴葉「殺す!!」
敦「無理」
琴葉「なんでだ!!」
敦「好きだから」
沈黙。
更衣室のざわめきの中。
琴葉、完全停止。
ゆっくり顔を上げる。
真っ赤。
琴葉「今なんて言った」
敦、真顔。
敦「聞こえてる」
琴葉「もっかい言え」
敦「嫌」
琴葉「卑怯だろ!!」
敦「次な」
琴葉「次!?」
敦「猫いなかったら」
琴葉「猫召喚するぞ俺!!!」
敦、笑う。
琴葉、その場にしゃがみ込む。
琴葉(発狂する……)
でも。
逃げない。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
軽くない言葉ほど、残ります。




