第九十八話 忘れたいほど残る記憶
翌日 ― 教室
ガラッ。
琴葉「………………」
机に座ってるけど、
完全に魂がどっか行ってる顔。
敦「おはよ」
琴葉「っ……!!」
ビクッ。
振り向いた瞬間、耳まで真っ赤。
敦(あ、昨日の記憶フル再生中だな……)
敦「体調悪い?」
琴葉「悪くねぇ!!」
敦「声デカ」
琴葉「……悪くねぇけど……悪い……」
敦「どっちだよ」
琴葉、机に突っ伏す。
ゴン。
敦「ぶつけんな」
琴葉「記憶を消してぇぇぇぇ……」
敦「何の」
琴葉「全部だよ!!」
敦(全部は困るだろ……)
クラスメイト「琴葉どうした?朝から騒がしいな」
琴葉「静かだろ!!」
敦「今一番うるせぇよ」
クラスメイト「仲いいなぁ」
去る。
静かになる。
琴葉、小声。
琴葉「……昨日の話すんなよ」
敦「しねぇよ」
琴葉「するなよ」
敦「しねぇって」
琴葉「……」
敦、少しだけ身を乗り出す。
敦「……でもさ」
琴葉「言うなァァァァ!!」
バン!!
机が揺れる。
琴葉「……“でも”禁止」
敦「接続詞まで?」
琴葉「俺は忘れる。今すぐ忘れる」
敦「無理だろ」
琴葉「敦も忘れろ」
敦「……無理」
一瞬、間。
琴葉、固まる。
敦(あ、やべ)
敦「いや、その、えっと……」
琴葉「……なんで」
敦「あ」
敦「いや」
敦「……悪くなかった」
敦(……言葉事故った……)
琴葉「……もう喋んな」
敦「そっちが振るからだろ」
琴葉「振ってねぇ!!」
敦(……昨日より今日の方が破壊力あるだろ)
琴葉「……」
敦「何」
琴葉「……今日」
敦「うん」
琴葉「敦禁止」
敦「何のルールだよ」
ここまで読んでいただきありがとうございます。
消そうとすると、逆に鮮明になります。




