坊主頭との対決
農家の陰に隠れて、狙っているに違いない。
喜之助は警戒しながら、慎重に歩いて行った。
その喜之助を屋根の上から、狙う人物がいた。
源三郎である。
源三郎は弓を構えて、喜之助に狙いを定めている。
喜之助は歩く途中で、屋根に人影が地面に映っているのに気づいた。
さては、俺を屋根から射止めるつもりだな。
喜之助は急に曲がり角に向けて、走り出した。
間一髪、喜之助が歩いていた地面に矢が突き刺さった。
源三郎は喜之助に勘づかれたのを知って弓を捨てると、農家の屋根づたいを走って探し回った。
今度は喜之助が弓を構えると、源三郎に狙いを定めた。
源三郎が屋根から屋根へ跳躍しようとした時、
矢は背中に命中し、源三郎は屋根から転がり落ちた。
あっけなく地面を転がって落ちた源三郎の死体を見に、喜之助は近寄った。
まだ、残りの連中はいるはずだ。
油断は出来ない。
突然、背後から棒をブンブン振り回す音が聞こえてきた。
振り返ると、坊主頭の大男が樫の棒を振り回しながら、こっちへ向かっているではないか。
喜之助は、サッと刀を構えた。
坊主頭は棒を喜之助の頭上に振りかざしたが、喜之助は寸前でこれをよけた。
もしよけ損なっていたら、頭蓋骨を粉々に砕かれていただろう。
喜之助は右脇腹に刀を振り下ろすと見せかけて、右足を狙った。
だが喜之助の見せかけ攻撃は易々(やすやす)と見抜かれ、これも棒でガードされた。
次は左肩を狙った。
しかし、またもやガードされた。
坊主頭と喜之助は棒と刀を十字に交わせたまま、鍔競り合いの力比べになった。
力では、大男である坊主の方が上だ。
喜之助は坊主頭に突き飛ばされ、地面に転がった。
間髪を入れずに、坊主頭は襲ってきた。
喜之助は地面を転がりながら、坊主頭の攻撃をかわしていく。
喜之助は寝たまま、坊主頭の足首の肉を斬り裂いた。
「ウウッ」
痛みで坊主頭が、体を後退した。
喜之助はその隙に立ち上がり、朝焼けの太陽を背にして突進した。
坊主頭はまぶしくて、眼を細める。
喜之助は大男を斬るためにジャンプして、正国を頭上に振り上げた。
坊主頭は、喜之助と太陽が一つに重なって見えた。
喜之助は相手の脳天めがけて、刃を振り下ろした。
ボキッ。
頭蓋骨が割れた音がすると、大男は脳天から血を流して倒れた。
戦いが終わると、喜之助は大きく深呼吸して相手の死体を眺めた。




