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田んぼの戦い

喜之助は、大分走った。

そろそろ息が上がってきた頃に、まだ苗を植えたばかりの田の中を突っ走った。

後ろを振り向くと、賊たちが追いついてきている。

喜之助はクルリと振り向くと、今度は賊たちめがけて突進した。

ちょうど賊たち六人に、取り囲まれる形になった。

まず手始めに、自分の前にいる男三人に向かった。

最初に向かってきた男には、死角をついた。

ギリギリまで接近し、正国を振り下ろすと手首を切断した。

刀を握ったままの手首が田んぼに落ち、男は悲鳴を上げた。

喜之助は田んぼの手首から刀を拾うと、二刀流で構えた。

何故なら、一人ずつ斬っている間がないからだ。

それを見て、手首の無くなった男は逃げ出した。

逃げる男を、背中から斬りつけた。

次は目の前にいる男二人が、同時に襲いかかってきた。

喜之助は右から襲ってきた男の刃をかわし、背を向けた。

左からきた男の喉(のど)を、左手で斬った。

それと同時に、右手で右側の男の首を見もせずに、横から斬った。

喜之助は円を描きながら、同時に二人の首を斬った事になる。

一回転すると、二人は田んぼの中に倒れていた。

残りは後方の、三人。

まず、一人が斬りかかってきた。

喜之助の脳天めがけて振り下ろしてきたが、左の刃でガードした。

男の腹にすかさず、右手の正国を突き刺す。

正国を引き抜くと、男は倒れた。

二番手の男が、向かってきた。

男が近づいた途端、喜之助は左手の刀を男の胸めがけて投げた。

刀は見事に、男の胸に刺さった。

男が倒れて、田んぼの泥水が辺りに散った。

最後の一人は刀を構えたまま、こちらに向かおうとはしない。

先程の勝負を見て、臆(おく)したのだろう。

刀を捨てると、その男は背を向けて走り去ろうとした。

たが、男は斬られた。

喜之助ではなく、仲間の手によって。

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