おまけ① 白昼夢。
「折角君のタイトルだったのにオチをパイモンが持って行ってたじゃないか。」
えぇ? あれは夢ーー夢じゃない?
夢の続きか……。
夢の続きでスカラマシュにそんな事を言われてしまった。
「あそこで区切られちゃったからさ〜、ああでも! あそこの後からは話が脱線するからね! 」
「フンッ、女児妊娠だなんて、ギャグにもならないーー銀行を見る前に品を買って来たらどうだい? 」
このスカラマシュは包み隠さないタイプだ。夢だな。
ーーと、タルタリヤは瞬時に解析した。
「品はあるでしょ〜? ほら、どこを見たって! 」
両腕を広げて見せる。どうやら戦闘服にしている衣装は今日は破れていない様だ。
「清潔感はあるな。」
「爽やかな感じです。」
「イケメンでもある……。」
「つまり、騙されたら危険、という事だよ。」
「相棒〜! スカラマシュが虐めてくる! 」
「という事なんだな? 」
パイモンが少し旅人を庇う様に口を開き、スカラマシュに同意した。
「おい! 増えないでくれよ……。」
「味方が少ないな? タルタリヤ」
静かで何処となく厳かな声がポツリと響いた。
「あれ? また新しい人? 」
「いや、昔から居るよ。ーー大昔からね。」
綺羅びやかなドレスではなく、繊麗なデザインのパンツスーツ姿で顔と容姿が整った女性……。
「書き始めにはまだ公式ですら登場していなかった超重要キャラ来たコレ! 」
ファデュイ執行官、召使、アルレッキーノだ。
「キャラ増えていくよな〜、賑やかで良いな。」
「賑やか好きだね、相変わらず」
「ああ! 賑やかわっしょい! だな♪ 」
「賑やかわっしょい! は良いけど、押され気味なのよ……。古参キャラが埋もれちゃうわ! 」
古参キャラがわらわら、わいわい、がやがや、と騒ぎ出した……。
「(君たちだって若くて新米なくらいだけれどね……。月日が経つのは長かったけどーー代が変わって行くのは早かった気がする……。)」
周りを俯瞰して眺めるスカラマシュ。スカラマシュの言う通り、長い長い年月のその歴史の上に、今の代の自分たちがいる。
けれど、古参と呼ばれるキャラクターたちがそれに囚われると、途端に年老いて苔生しそうだ。
「何か言ったか? スカラマシュ? 」
「何も言っていないさ。ーー態々スカラマシュ呼びかい? 」
タルタリヤの聞き取りに、言葉を返すスカラマシュ。
「(今スカラマシュだっただろ? 元相棒、元ファデュイの馴染みなんだから、それくらい分かるって! )」
実はこの話の最初から、スカラマシュはスカラマシュでいる。このおまけの夢の中ではスカラマシュはスカラマシュだ。
「(フンッ、いつ迄そう言って居られるかな? )」
「(いつまでだって言ってやるさ、)」
「(……。)」
黙ってしまったスカラマシュ。タルタリヤは内心押し切った勝ちを得たつもりでガッツポーズをした。
「あ〜、込み入った感じか? 解散〜! 」
集まっていた一人が『解散』を伝える為に声を上げた。
「そうだね。込み入ってるーーって有り難いな。察しが良い……、ってちょっと! スカラマシュ〜、お前は帰らないでって! 」
解散の声と同時に背を向けて去る方向へ歩き出したスカラマシュを慌てて呼び止めるタルタリヤ。
「失礼するよ、と言ってたぞ? 」
「解散前に? 聞こえなかったよ、まだスカラマシューー放浪者は残って俺の話を聞いて。ファデュイの愚痴を言えるのなんて、君くらいなんだから! 」
何とかここに留めようと声を掛け続けるタルタリヤーー思いが通じたのか、スカラマシュは足を止め振り返った。
「愚痴? ーーーーーー仕方無いな……。」
そして、暫く考えてからタルタリヤの方へ歩いて戻って来た。
「おぉお!? スカラーー放浪者が応じたぞ?? 」
「パイモン、し〜。」
「あぁ……、駄目だったか……。オイラ静かにしてる」
そう言って、両手を口に当てて黙るパイモン。
「あっちに行ってよう? 」
旅人が気を利かせてまたパイモンに声を掛ける。
「そうだな、愚痴は聞かない方が良さそうだ! 気分が暗くなるからな! 」
「うん。」
旅人とパイモンは笑い合うといつも通り一緒にどこかへ歩いていった。
2026.9.23




