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璃月に公子

「ーーッ、散兵!!! まだっ!! お前は死ぬな!! お前は生きてーーファデュイをーーファトゥスの皆をーー!!!! 」


そこで、俺は起きるんだ。


「〜〜〜ッ、あぁ、……。いつもの夢ーー良く見るーー……。煩わしいって事も無いんだ、けど、何だかなぁ〜……。」


一人言を吐きたくなるくらい、参っていた。

"散兵"とは、ファデュイ組織のファトゥスの階級の一つだ。今は、フォンテーヌの統治者がなっているーー……。前もフォンテーヌのーー、確かーー、いやーー違う、何だ? 稲妻? ーーーーこれは、ーーフラッシュバックだーー!?


『あぁ、思い出してしまったのか。哀れなタルタリヤ。もう少し、夢の中に居ると良い。ーーそして、出来れば忘れて過ごすんだ。彼の事はーーーーーー誰も、止められない……。』


声が聞こえて来た。

遠いような、近いようなーー……。

ステージナヤの冷たい風がスゥッと体を冷やしていく……。


「(何だってーー? )」


冷えた体とは反対に、頭に血が昇り今にも火が出るのではないかという熱を帯びた。



「(何だ? ーー今ーーーー彼?? 彼はーー放浪者だ! そうだ! スカラマシュ! 如何して忘れていたんだろう!! 相棒!! ーーいや、相棒はーー……。)」


「旅人で空と蛍。」


ボソッと言葉が呟かれた。


「わぁ!? ーーい、つの間にーー……。」


その呟きがハッキリと聞こえて来た事と、急に近くに人影が現れた事でビックリした。


「いつから居たの? ーータルタリヤ、苦しんでた。ーー色んなのが、呼んで、此処ーー七七たちのところへ……。あ。」


ベッド?女の子? ーーあぁ、璃月か……。


「起きろ〜! 起きたか〜? 若人よ〜〜〜♪ 歓迎してあげるよ〜。君は、私の、友達の友達だ♪ 」


再びベッドに体を倒し、微睡み掛けると白いーー何だ? 生物? 視界がぼやけるーー……。


「友達のーー友達? ーーまた、アイツのーー痛……。スカラマシュとかの? 」


声を掛けて来たその白い生物の言葉に質問した。


「スカラマシュ? 知らないなぁ〜? え? スカラマシュっていうの名前? あ、あー! そうだった! スカラマシュの友達だよ〜♪ 」


横に居るお化け? みたいな生物? みたいな物体質? ゆるキャラ的な生命体? が、俺に向かって頷いた。このスカラマシュの友達の女の子ーー女性の言葉の肯定としてだ。


「ーーそうーーなんだ? ふぅん? ーーーーじゃあ、その"スカラマシュ"に連絡は取れる? 」


「………。取れるけど、嫌! 何か嫌だなぁ〜、そういうの! 友達だけどもう友達じゃない、みたいな。そういうーーそんな感じの。」


ゔ……。


「図星……。突かれちゃったなぁ〜? あはは、はぁ、ーー疲れちゃった、な……。んん? 何? お化けくん? 何か言いたい事でも?? ーーお化けくんの中身はーー正体は何かなぁ〜? スカラマシュでも入っているのかなぁ〜!? 」


俺には確かに聞こえたーー『僕は目の前に居る』って……。


「はぁ、んな訳無いか。ーーアホかぁ〜……。アホかも。俺もぉ〜、駄目かもなぁ〜……。ふは、ははっ、はははははっ、」


そうだ、そうだった。何故か、何故だか、ーーこんな時だ。





「やぁ。」


「ーー?? 」



君は毎日来るね。

ここを通るけど、俺は話した事がないんだ。

その君に、今日は声を掛けてみた。



ーー声を掛けられて立ち止まる少年。青年にもなるのだろうか? それにしてはーー……。


「お兄さんに話し掛けたんだよ。お兄さん。俺の周りには一人だけ。ーー君だけだよ。」


一応、礼儀として『お兄さん』とした。自分の背丈から頭一つ分は低い背丈のその青少年を。


「僕ーーか。どうも? 今晩は。」


「あ、ぁ、うん。そうだな、こんばんは。」


意外にも、こう、ーー物静かだった。落ち着いた雰囲気の子だ。声で分かったが、少年くらいだろう。


「? 」


「えぇっと、ーー俺の言葉って、分かる? 分かってる? 」


少年の意外なクールさに面食らってしまっていて、会話の続きを考えられなくなっていた。


「分かるし、分かったから僕は立ち止まって、こうしてーーそっちもお兄さん? お兄さんを見て話し掛けた訳だけど? 」


見上げられ、お兄さんと呼ばれた。

お兄さんと呼ばれるのは悪くない。うん。


「あ、はは、そっか! えっと、」


「今日は時間があるから、ゆっくりで良いよ? 時間掛かっても、僕に話があるのなら、聞くよ。なんなら場所を変えるでも。」


スルスルと言葉が紡がれたーーまた面食らってしまった。流暢に喋るものだなぁ、と感心さえした。


「ーーそこ、まで、ーー信用して話を聞く?? 」


「いや、怪しんだり訝しんだりはしてる。」


「してるぞ! こいつは人に気を許さない奴だからな! 」


少年の言葉の次に喋ったのはーー何だ?

丸っとした毛むくじゃらの生物……。

大きなコウモリ?


「実は怖いお兄さん♪ ーーあ。すみません、ごめんなさい。もう言いません。黙る。」


「虎の子がーー大分怖がってるみたいだけど? 」


虎の子というか、虎だ。まだ中くらいだろう、大人の虎よりもサイズが一回り小さい……。えぇ? 何この子、虎連れて歩いてるよ!? しかも喋ってーー虎が喋った!?


「ふぅん? そっちのお兄さんはお優しいみたいだね? こいつらが僕に虐められていたり、脅されているだなんて考えて、態度が変わったよ。」


態度というかーー言葉には出したけど、態度にも出ていたか……。


「分かるんだ? 実は外国から来てるんだ。だからこっちの言葉は難しくてまだ未習得ーーだけどこれは間違ってないかな? 君は僕より下だ。」


少年の眉が跳ねた。


「ーー下に見ないと負けるタイプだろう? 」


下と言われた事に苛立っているだろうか?

感情はあまり読み取れない。


「はははっ、違う違う! 歳がだよ! 年齢。」


「下じゃないかも……。」


「だってこいつはこう見えてーーむぐっ! 言わねぇ! オイラは今、この童顔に見えて実は本当にガキっぽい大人の付き人なん、だ!? 世界が回る〜〜〜!? 目が、体がぁあああ!? 」


大きなコウモリの体の一部を掴み、少年は腕を大きく回してーー……。


「……。くるくるくるくる、回してるけど、その小さいのは大丈夫なのかな? 」


「大丈夫、大丈夫。スキンシップ。」


いやいや、目が回るだろう? そんなにーーそんなふうに回していたら! そのコウモリくん? の目が!


「そうそう。ーーさて。お前らが次に粗相を犯したら、僕はもう二度と」


少年は自分の連れのモンスター(多分モンスターだ。普通の動物たちと色々違う……。)たちを振り返り、凄んだ。


「も、もう二度とーー? 」


「お前たちの罪を被ったり誤魔化したりしてやらない。」


「え? 」


「えええええ!?!? 」


「あんまりですぅ〜〜〜〜!! 」


モンスターの子たちが嘆き出した。


「ぎゃああああ!! じゃああれか!? オイラ達は、ーーオイラ達は、もう、ディルックたちの、ワイナリーのワインをちょろまかして飲んだり、猪の美味しい肉を勝手に焼いて食べたり、稲妻の団子牛乳を好みの味付けにして飲んだり出来ないって事かぁ〜!? ーーそれは嫌だ!! 考え直してくれ!! なっ!? 」


コウモリの子は罪深いようだ??


「…………。俺は前言を撤回するべきかーーな? 出来る? 前言撤回。」


少年を誤解していたようだ……。


少年はこのモンスターたちの躾をしていて、躾の為に凄んだりしているらしい。


「ーー良いよ。こいつらと僕については、保護者と子供みたいに思ってくれれば。更に良いな。」


その台詞はーー、前に俺が使った台詞だ。


「へぇ? 見ていたんだ? ーーじゃあ、俺が」


「ファデュイだろ? 」


「ファトゥス。」


「どっちでも、良いじゃんか! 」


「ファトゥスの方が強い〜♪ でしょ? タルタリヤお兄さん? 」


「そう、俺はタルタリヤ。公子、タルタリヤだ。お見知りおきをーーよろしく、ええっと、そっちはーー……。」


虎の子に聞かれて答えた俺は、俺も聞かなければならなかった……。


「虎の子と空跳ぶ小動物と心優しいアイドルと僕はただのこの辺りを行ったり来たりしてるお兄さんだよ。」


『お兄さん』ーーねぇ?


やっぱりどう見ても少年にしか見えない。あぁ! そうか! このモンスターの子たちのお兄さんか!


「あはは、それは知ってる。よくこの道をその子達と一緒に、行っては帰り、帰っては行きーー何してるのかなぁ〜? って思ってさ。ね、何してるの? 君たちは」


「ーー……。」


「あ、分かった。面倒臭い奴だ! 」


少年は黙ってしまったが、モンスターは変わらず喋るみたいだ。ーー代わりにかもしれない。


「そうか? 面倒臭いのはこいつだぞ? 」


「面倒臭いのは空跳ぶ小動物〜♪ 」


「言ったな!? 噛み付いてやるぅ〜〜〜!! 」


揶揄ってきた虎の子に小動物にしては大きなコウモリが牙を光らせて向かって行った。


「風をーー暴風をお見舞いしてーーあ、はい。ちょっと他所行きます……。」


ジロッとかジトッとかいう効果音付きの、少年の小さな睨みに虎の子は振る舞いを正した。


「話中は、正座だよ。」


「ーーはい。」


そこまで怖いの? この少年?


「ーーーーう、分かった……。オイラも足が痛いけどーー痛くなるけど正座する……。」


コウモリくんがそう言って本当に正座した。


「ーー良い子たちだね。君の言葉を、君の事を良く理解している。君たちってどんな仲なのかな? 」


「さっき言った通りだけど? 」


「あ、本当に? じゃあ、この辺によく居るーー君に背格好のよく似た、和服の袴を履いた髪の色の違う子って、君の知り合い? 」


赤い着物を着た少年の様な、少女の様なーー俺には少女に見えたんだ。その子と、どことなく似ていて、その子が来る日はこの子が来ないーー何かあるんだろう?


「はかーーまーー? 」


「髪のーー色!! 」


?


そこまで驚くことがある?


「それは裏の僕じゃなくて、表のーー」


「わあああああ!! 」


「待て早まるんじゃない〜〜〜!! 」


モンスターの子たちが一斉に止めて、少年の言葉を遮った。

裏? 表?


「ーー話しても大丈夫だよ。あの狐っぽい猫っぽいお姉さんとかも袴だし、似てるし、平蔵だって袴。」


「後はーー雷電将軍! 」


「いや、袴じゃない。」


「袴じゃないだろあれは〜! 」


「着物だな。ーーお前たち、よくやった。友好関係だ。この胡散臭いお兄さんは一応は稲妻にやって来て稲妻を崩しに来た無法者とかではないようだよ。」


モンスターと少年たちに探りを入れられていた?

意図して探ったのなら、ちょっと動揺する……。


「稲妻を崩す!? そんな事したらなぁ!? ーー俺、絶対許さない……。」


「わぁあ!? 平蔵!! 落ち着け!! 落ち着けぇ〜〜〜!! 」


コウモリの子が慌て始めた。

虎の子が怒りから風を纏っていた。


暴風ーーと言っていた、吹き荒れるのか!?


「落ち着けないーー何? 其奴、そういう類の困った奴? なら俺がやるよ。アンタがやる前にーー! 」


「どうどう。虎の子は気性がーー実は荒く無い子なんだ。この子、平蔵は。」


少年は虎の子を両腕に抱えて頭や背を撫でた。犬を撫でるみたいに。


「ごろごろごろーー……。眠くなってきた……。おやすみ皆ーーあ、これ、こいつの特殊能力ーーだーーった……。」


いや、犬を撫でるみたいにしてその威力ーー!?


「何だかオイラもーー? うぅ……。ぐぅ〜……。」


そういえば、良い子は寝る時間の時刻をとっくに過ぎていた……。


「私は逆に起きてしまいました。おはよう御座います♪ そして〜、今晩はっ☆キラッ 星の煌めく良い夜ですね〜♪ ひぇっ!? 一触即発の危ない夜!? 喧嘩ですか!? 喧嘩ですか!? 」


「混乱しないで健気なアイドル。」


少年がすかさず声を掛けた。


「健気なーーアイドル!? アイドルなの!? その子!! 」


「ハイ! と、良い返事が売りの可愛いって自分で言うのは恥ずかしいけど可愛いアイドルって言う私はアイドルです☆キラッ♪ 」


アイドルらしいワンピースドレスがはためき、決めポーズをしっかりと決めるアイドル。

キラキラしていた。キラキラしてきた。辺り一面が……。


「あぁ……。またこのアイドルの虜になってしまった憐れな男性をーー今宵、僕が撃つよ。消す勢いでね。なんなら消すよ。」


少年、ここが、アイドルが地雷かーー!?


「撃つ!? 消す!? ーーや、待って待って!? 勘違いしている!! 君はーー!! 俺の何も知らない! 」


俺は本気で狼狽えた。


そして、虎の子たちのあの萎縮した様子がどうしてかを理解しかけている。多分。


「今日、この夜会ったばかりだね。」


少年の言う通りだった。


「そうさ! そうだろう? だから」


「そっちは随分長く僕らを見ていた様だけど? 」


ーーそう、だ。確かに、俺は長く、ここしばらく君たちを見ていた……。


「ヒッ!? ストーカー!? 」


「止めてくれ、ストーカーなんてーーそんなーー……。」


え、あ、あぁ! これってストーカー!?

俺、ストーカーしてた!?

確かに毎日、毎日、声を掛けようと……。

あれ??


「あ、思い当たる様ですよ? この方、誰かのストーカーを? お話、聞いてみましょうか〜? 」


「アイドル、」


「ハイッ!☆キラッ」


名前を呼ばれたように嬉しそうに返事をして、また決めポーズをした。


キラッ☆ は良いなぁ。キラッ☆


「話ほ良いよ。僕にも思い当たる事があった。」


「そうですか? ではっ! 私はもうひと眠りしますね〜。おやすみーーなさいーーく〜……。」


「うん。おやすみ、アイドル。明日も君のキラキラした笑顔で皆を癒してよ。」


「ハイ……。すぅすぅ……。」


「ーーーー似てる、か。」


雰囲気が、ーー少年の雰囲気が、どうしてもあの赤い着物を着た少女を思わせる……。兄妹、いや、姉弟だろうか?


「ああ、似ているだろうね。お兄さん、ーータルタリヤさんの探し人に。」


「やっぱり! ビンゴだ! で? その俺の探し人は今何処で何をしてどう過ごしている? 君は彼女の何だ? どういう関係? 素直にお兄さんに話せば、痛いようにはしないよ? 」


隠し立てするなら、例え年端のいかない少年相手でもーー!


「掛かった。」


「何? 罠だったか? 」


少年の呟きに身を構えてしまった。

ファデュイのーーファトゥスのさがとかいうやつかもしれない……。


「罠は無い。ただ、ーーそうだな、例えば嫌な人間と同じにはなりたくない、それが人間というものだろ? 」


「うん? そうだね? 」


少年の声色と口調が、変わった?



「話し方が変わった事に、気づいていますか? ご自身の話し方の事です。ーーあ、すみません、間に入ったら駄目、ですよね? 」


甘雨はいつもの様に遠慮がちに謝った。

いつも謝る必要はない場面だ。


「良いよ。」


「ああ、構わない。此方も。」


タルタリヤの了承に、スカラマシュも同意した。


「なら俺も構わないか? 」


「いや、叔父さんには帰って欲しいかな。」


不意に見慣れない人物が増えた。

自身を『叔父さん』だというこの人物はーー?


「つれないな……。スカラマシュ、俺はお前の愛しの叔父さんだぞ? 」


叔父さんとスカラマシュは顔見知りの様だ。


「ーー愛しの? 何ですか? 」


「鎌を掛けたーーもしくは比喩ーーか、揶揄いだな。」


惚けているのは果たしてどちらかーー二人に不思議な関係性を感じずにはいられない。


「ーーーー、あぁ、愛しの叔父さん? 消え失せてくれると嬉しいな!? 」


「き、キレました!? 来ますか!? 」


「おい、甘雨に手を出したらーー」


自称叔父さんが注意の言葉を漏らす。


「誰が甘雨みたいな良い子に手を出すって? 出すとしたら叔父さんがその子にーー」


「だよね? そうだよね!? スカラーー何だっけくん!? ぼくもそう思ってた!! 甘雨、帰っておいで!! そして、叔父さんは甘雨に近づかない!! 様に!! 」


遠巻きに見ていた運営の天の使いが必死に訴えた。

自分で伝えた名前も飛ぶ程焦っている様子で。


「ーーーー帰れって言われちゃいました……。」


分かり易くしゅんとしょげてしまった甘雨は、まだその場に居たい様だ。


「名残惜しいな。」


「名残惜しいです……。ですけど、お休みなさい。」


「ああ、お休み。」


やはり何か気になる雰囲気を醸し出していた。

二人の見た目や年齢が原因だろうか?


「ーーーー(場所を変えよう、あっちの二人はそうでもないけど、あの叔父さんは何か君に執着してそうだ。)」


「(執着? ーーあるかな、あの人にそんなーーあぁ、そこの虎の子、平蔵の保護者そのニくらいだよ、あの叔父さんは。)」


声を潜めて話し掛けーー気にするタルタリヤにスカラマシュは同じ様に声を潜めて説明した。


「ーー成る程ぉ? 公子タルタリヤ甘雨に手を出そうとしている叔父さんは俺の保護者その二かぁ〜! ♪〜」


風が吹いた。

明るく間延びした、のんびりとしているのにハキハキとしている様な、そのこの子の声と共に。


「『♪』付いててご機嫌♪ 平蔵くん」


天の声ならぬ天の使い、皆の友人が楽しそうな平蔵を見てつい声を掛けた。


「楽しくなって来た♪ ーーけど! 」


「あ! 」


「甘雨には手を出したら駄目なんだぜ? スカラーーおっとっと! 放浪者の御贔屓上役の方の大切な相棒ちゃんだからな〜」


スカラマシュの様に風を纏った少年が、叔父さんと甘雨の間を通り、叔父さんを見据えながら言った。

着物に袴姿なのも、スカラマシュとお揃いだ。


「それは確かに」


「そう、それは分かってるんだけどさ〜? 駄目なものだとーー駄目な事だと分かっていると! 余計に!

ってなる気持ち、分かって貰えない? 」


態々と話に割って入ってしまったタルタリヤ。

元来タルタリヤは素直でお喋り(軽口)だ。

そういったスキルが必要な職種(ファデュイという組織)に就いている所為もあるのかもしれないが……。


「へぇ……。そうか、公子くんは……。」


運営の天の使いの眼光に火が点りそうになっていた。

普段優しいが、皆の愛され友人はファデュイのファトゥスの権力者で偉い人間だ。


「タルタリヤ、」


「名前を呼ぶのはーー元相棒、放浪者じゃないか。」


嗜める為に呼んだことに喜ばれてしまったスカラマシュは反応に困り、一瞬狼狽えそうになった。


「『ほぉら合ってた!』って顔。」


ボソッと呟く旅人。


タルタリヤは、多分こういうところが、だーーと旅人やパイモンまでが確信した。


「相棒! 相棒は今現在の相棒だよ。」


白々しい、それは口説き文句なのか? とパイモンは首を傾げた。そして口を挟まずにはいられなくなった。


「みんなのサポートガール! オイラはパイモン☆ オイラだってちゃんと居るんだぞ? お前らはいつもオイラを無視して話をする……。」


舞い上がって明るい口調で言ってはみたものの、これまでの寂しさやら何やらが胸に込み上げて来てしまったサポートガール、パイモン。


「可愛い女の子が剣の飛び交う戦場に居る事こそが疑問だよ。」


まさに爽やかイケメンが言いそうな台詞だ。


「うんうん、」


「確かにそうだよねぇ〜」


「パイモンは大食らいの妖精……。」


公子の台詞に口々に肯定や感想の声が響いた。

御城の舞踏会にでも来ている気分だ……。


「オイラ、確かに大食らいだ……、自覚はある……。」


「自覚あるなら気を付けよう? 」


「腹破れるぞ? 皆のサポートガール! 」


平蔵たちが気にして声を掛ける。


「破れるのは嫌だ! だから、伸ばす!! 」


「伸ばしちゃ駄目だよ……。」


ヤケになってきているらしいパイモンに旅人が注意した。


今夜も騒がしく静かな夜が更けていく……。

2026.9.22

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