早く・・速く・・
それでは、何故エリーザは集落に自分がいたかの様な認識を持っているのか?いや、そこに居ないと知り得ないはずの情報を何故持っているのだろうか?
答は出ない。
正直言うと内通者として一番怪しいのがエリーザになってしまうのだが、短い時間での情報では結論付け出来ないにしろ、俺は違うと言い張る自信がある。
あくまでも俺の直感でしかない根拠なき自信だが・・・
「本当はしっかり計画を立てて行動するべき場面なんだけど」
俺は言い淀む。今からやろうとする事は、火事の現場を前に生身のまま火に飛び込むのと同じ事をしようとしている。
「・・・今すぐ、向かった方が良いと?」
エリーザが俺の考える先を口にした。
「ああ、もしかしたらだけど・・・」
言いかけた俺の言葉を遮り頷くとミーナを渡してきて、おもむろに龍化しだす。
衣服はその影響でビリビリに破れ散っていくが、彼女の様子はお構い無しという素振りだ。
緊急を要すると判断したのだろう。
「背中に乗ってミーナとご自身を私に密着して固定して下さい。飛べる自信は有りますが、久しぶりです。乱暴な飛行になると思います!」
彼女に言われた様に身を固定すると、エリーザは即座に翼を大きく羽ばたかせ大空へと垂直に駆け上がり角度を付けると、目的地に向かって急降下するように、猛スピードで降り進む。
最前世から1度として飛行機に乗った経験の無い俺の空の旅は、己のけたたましい叫び声と共に、その初体験を終えることと成った。
ドドドーン!!と地響きをたて、エリーザの体は半身地面に埋まるように着地する。
「・・・エリーザ?・・か?それに、ミーナも・・・あとは・・・誰?」
エリーザの華麗な?着地を決めた鼻先に・・・どえらい顔の整った美男子が居らせられ、驚きの声をあげる。
・・・なにこのスペック。こんなんぜって~女子にモテまくり確実じゃん!!と負け惜しみ太郎な俺タイチ。
「なんで?こんなに早く・・・しかも・・・両翼?」
驚きの声をあげる美男子。だがそのすぐ後
「バカ!!こんなに早く来るなよ!・・・一旦下がれ・・・ミーナと遠くに・・・遠くに・・・逃げろ・・・」
罵声似た注意と言うか懇願。
彼の顔は綺麗なままを保っていたが、その他はズタズタで、右手の肘があり得ない方向に曲がり、左足は膝より下が無く、全身が傷だらけな事に注意が引き付き、しかも立つ為に、付け根から先までが細く、その先端がスペード似にた尻尾を地面に突き刺し、背に生える漆黒の翼でかろうじて保っているだけに見える。
「ブラド!何故お前がここに・・・それにその姿は・・・」
エリーザが彼の懇願を遮る様に叫ぶが、
「いいから逃げろ!俺にも敵わないお前では無理だ・・早く・・速く・・」




