第21話「HIS LEGACY」
好きだった漫画が打ち切りになりました。辛い
俺が目を覚ましたのは、全く知らない洞窟だった。どうやら俺はその洞窟で座った状態で眠っていたらしい。
ところどころ苔が生え、洞窟があるのも森の中らしい。俺の住処の洞窟は、荒れ果て植物もろくに生えていない山頂にある為、何だか不思議な気分だ。
俺は…今まで何を…。
そうだ…。昨日お父さんが死んで…それで…。
俺はそこでハッとした。
すぐに立ち上がろうとするが、俺の右手は何かに繋がれていた。
見てみると、岩と俺の右手が、紺色の布で結ばれていた。
この布…まさか…。
【目が覚めたか】
腕組みをした紺色のドラゴンが、俺を見つめてくる。
その隣には、茶色い体色のドラゴンとその陰に隠れる黄色い子ドラゴンがいた。
【トルネード…。それに、マーベリック…】
トルネードは兎も角、マーベリックとはあまり会いたくなかった。
やはり、この布はマーベリックのマフラーか。ってなると…
俺は魔法を発動した。
だが、体は全然動かない。
【無駄だよ。キミの魔法の可能性は広げた。代わりに、拘束された状態では使えない】
なるほど。そう来たか。
こいつの「可能性を操る魔法」にしてやられるなんてな。
【強化されても、その分制限が付けられたら意味ねぇよな。どうだ? その布を燃やすなり何なりしてみるか?】
【無駄だって分かってる。俺とこいつは長い付き合いだ】
【だろうな】
そう、この布は特別性だ。
ドラゴンの火でも燃えないし、ドラゴンの力でも破けない。
偶然マーベリックが見つけたもので、俺もその力はよく知っている。
【マーベリックから聞いた時は驚いたよ。何せ、その親友と俺を倒した裏切り者の特徴が見事に一致してたんだからな。だが、おかげでお前の名を知れた。なぁ? バニッシュ】
【自己紹介の手間は省けたな。それで? 俺をマーベリックに会わせる為に人間の国に?】
【それもあるが、半分違うな。ちょっとした好奇心だ】
トルネードはそう言うと、その場にしゃがみ俺と目線を合わせる。
【昨日、強化された人間の警備が手薄になった。おかげでドラゴンは人間の国に行きたい放題。俺はどうでも良かったんだが、お前の事が少し気になってな】
【俺が? お前、そんなに優しかったか?】
【言ったろ。ちょっとした好奇心だって。それで、そのドラゴンの話をマーベリックにしたら、お前がこいつの親友の可能性が出てきたって訳だ。
もちろん、マーベリックも行きたいって言ったんだが…】
トルネードはマーベリックの後ろに隠れたままの子ドラゴンを一瞥する。
【あいつを一匹にする訳にもいかないしな。あいつは今マーベリックに懐いてるし、飛行の練習をマーベリックに教えてもらわないと困るから…代わりに俺だけで行った。理解したか?】
【なるほど。お前が子持ちだったとはな】
【拾って仕方なく面倒見てるんだ。俺のじゃない】
こいつ、捨て子の面倒を見る面もあるのか。意外と優しいところあるんだな。
【しかし、驚いたな。あんなに人間守ってたお前が、人間に手を振るうなんて】
【時と場合によるんだ】
【僕はそれより、キミが人間を守ってた事に驚いたかな】
【ちょっとした気まぐれだ】
俺は二匹の質問に、そう適当に答える。
まぁこれで、あの二匹が引くはずが無いのは分かっている。特にマーベリックはそうだ。
だが、答える気分にもなれないし、そもそも答えたくもない。
【じゃあ、フェアリーに訊こうかな】
マーベリックが予想外の名前を出した。
俺は驚いて奴の顔を見る。
【彼女は何か知ってるだろ? 分かるよ。彼女嘘下手だから】
【会ってたのか】
【当たり前だよ。それで僕はキミが生きてるって確信してたんだから】
確かに、フェアリーは表情に出やすいか。あいつにバレてたのはやはり不味かったな。
【そのフェアリーという奴は知らんが、奴に無理矢理訊いてやっても良いんだぞ?】
【やめてよ、僕の友達だよ?】
【俺の知り合いじゃない】
【マーベリックとは友達だろ。お前、性格悪いな】
【そうか? 初めて言われた】
【僕もキミ性格悪いと思う】
【褒めるなよ。照れるだろ】
マーベリックは兎も角、トルネードならフェアリーを拷問しかねそうだ。
こいつの事少しでも優しいと思った俺が馬鹿だった。
【まぁ冗談はここまでにして…どうする? このまま餓死するのを待つか?】
【餓死するのを待つのは本気なの?】
トルネードの脅しに、マーベリックが疑いの目を向けて言っている。
まぁトルネードの事だ。多分本気だろう。俺との関係はただの敵同士なんだし。そうなるとマーベリックももれなく巻き込まれるが。いや、もう巻き込まれてるか。
【……まぁ、待っても多分喋らねぇだろうな。ここは本当にフェアリーって奴に無理矢理訊くしかねぇか…】
【かもね。じゃあフェアリーの住処を教えるよ。それで良いかな? バニッシュ】
マーベリックは、俺の目を見てそう言った。
奴は分かってる。フェアリーは嘘が下手で、さらに誤解が激しいところがある。
もしフェアリーから話を聴けて、真実とは全く違う形で誤解され、誤解が広まってしまう可能性もある。
そうなると、場合によれば俺にも不利だ。
それに、トルネードは本当に無理矢理訊いてくるかもしれない。
フェアリーから話を訊くのであれば、一層の事俺自身から話した方が俺の為にもなる。
そう、マーベリックは分かっているんだ。
【……クソッ、フェアリーがもう少しちゃんとしてれば良かったんだがな…】
【話す気になった?】
マーベリックの言葉に、俺はどう返せばいいのか分からなかった。
だが、もう言い逃れは出来なさそうだ。
【話してもいいが…マーベリック】
俺は一番心配なマーベリックを見つめる。
【くれぐれも…本当にくれぐれも平常心でいてくれよ?】
俺は無駄だと分かっていながらもそう警告し、俺の姿を僕の姿に切り替える。
俺から僕の小さな体になった事で、拘束していたマフラーも拘束に意味が無くなり、僕の手は自由になった。
そして、問題はここから。
案の定、トルネードは目を丸くして僕を見つめている。
まぁ当然だよね。ドラゴンがいきなり人間になった訳だし。それで、マーベリックに後ろにいた子ドラゴンは首を傾げてる。何だかその姿が可愛らしい。
そして最後にマーベリック。
マーベリックはというと…。
【に、にににににに人間だああああああああああああああああああああ!!!!】
別に、マーベリックは極度の人間嫌いという訳じゃない。
この反応は…どちらかというと…その…。
「うわっ!」
突然、僕の体はマーベリックに押し倒される。
マーベリックの目はギラギラと輝いていた。えっ…めちゃくちゃ怖いんだけど…。命の危険を感じるんだけど…。
【凄い!凄い凄い凄い!!! この鱗も毛も生えてない剥き出しの肌…何度見ても興味深い!!! 大人になれば多少は毛が生えるらしいけど、何でこんなにスベスベなの!? 鱗も無いのに毛が頭部だけとか不思議過ぎるよ! 普通不便じゃない!? 何で!? ねぇ何で!?】
「ちょ、ちょちょちょちょっとマーベリック!? 怖い! 目怖いから! 離れて! 今すぐ離れて!!!」
【うわあああああああああああああ喋ったああああああああああああああ!!!! ねぇトルネード! 今人間が! 人間が言葉を! 意味のある言葉を使ったよ! 読み取り忘れたけど、人間が僕達に意味のある言語を! 悲鳴じゃなくて! 意味のある言語を! 怒りの感情も出さず!!!】
怒りの感情って、そもそもマーベリックの勢いが凄くて怒る余裕すら無いんだけど…。
そ、そうだ。今はもう拘束も解けてるんだから、テレポートして逃げれば…。
ん? あれ? また…腕に布巻かれてない?
【逃がさないからね!? こんなチャンス滅多に無いもん!!! もう訳の分からない事だらけだけど、一体どういう事!? どういう事なの!? ねぇ! どういう事!? どういう事!?】
ま、まさか…あの一瞬で結び直したの…? こ、こわっ…。冗談抜きで命の危険を感じる。僕が俺に食われた時よりめちゃくちゃ怖い。
【マ、マーベリック…? と、とりあえず…落ち着こうか…】
ありがとうトルネード。
もう僕、このまま行くとマーベリックがトラウマになりそうだった。
【落ち着く!? 何言ってんの!? こんなの落ち着ける訳ないじゃん!!! 人間だよ!? 人間が今ここにいるんだよ!? しかもバニッシュが人間に変わったんだよ!? え!? 何!? どういう事!? 凄いよ! やっぱりこれ凄いよ!!!】
あ、これ駄目だ。これ多分、もっと長く続く奴だ。
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あの頃の僕、マーベリックは親友のバニッシュと共に人間の国に向かっていた。
人間はドラゴンと争いを続ける下等動物。
だけど、同時にとても興味深い生き物だ。
だから、バニッシュの「人間を脅かすゲーム」に参加した。
バニッシュと協力すれば、人間を間近で見れるからだ。
僕はまず、僕の「可能性を操る魔法」を使ってバニッシュの魔法を強化させた。
その分、それ相応のデメリットも出来るけど、人間の国にまでテレポートするのはこれで十分だ。
そうして、僕はバニッシュと共に人間の国にやってきた。
ゲームなので、二手に分かれてそれぞれ人間を脅かした。
人間を殺しても良いというルールだったけど、人間は他の動物と比べて喧しいからあまりそれはしたくなかった。
だから僕は、基本的に人間の前に現れて咆哮を上げるぐらいだ。時には人間を掴んでその顔を間近で観察したりした。最も、その人間は泣き叫んでうるさかったからすぐに離したけど。
何だか…物足りない気がした。
人間を観察しようにも、人間はすぐに逃げてしまう。これじゃあ観察する事ができない。
一層の事殺してしまった方が静かに観察もできるのかと思った時、ドラゴンスレイヤーが現れた。
ドラゴンスレイヤーも観察したいところだけど、はっきり言って危険だ。
だから僕は、バニッシュを探して一緒に脱出しようと考えた。
でも、幾ら探してもバニッシュの姿は見えなくて、仕方なく僕は一匹で何とか人間の国を脱出した。
それ以降、バニッシュは帰って来なかった。
まさか殺されたのかと不安になったけど、ある日友達のフェアリーと会ってバニッシュの話をすると、明らかにフェアリーは動揺していた。
そこで、僕は確信した。
バニッシュは、生きてるんだって。
そして今、そのバニッシュは帰って来た。
予想外の方向で。
【に、人間を食べたら人間と融合した…? す、凄い!!! そんなの前例が無いよ!!!】
僕は興奮を抑える事が出来ず、目の前の人間に目を輝かせた。
この人間の名前はアピアス・ファーナー。
人間がドラゴンの住処にいること自体が普通に考えておかしいけれど、問題はそこじゃない。
彼は人間でありながら、僕の親友のドラゴン・バニッシュでもあるらしい。
こんな異例を前にして、平常心でいられる訳がない。
【信じられん…。だが、納得もできるな…】
トルネードもかなり驚いてるみたいだ。
チビ君はまだよく話は理解できてないみたいだけど。
【信じられないのは当然…】
【あ、ねぇちょっと待って】
目の前の人間がテレパシーを使って話そうとした直後、僕はすぐにそれをテレパシーで制した。
せっかくの人間だ。もっと人間らしい会話をしてもらいたい。
【お願いだからさ…。人間の言葉使って話してくれない? 僕らも考え読み取るから。ね? 良いでしょ?】
「……えっと…は、はい…」
人間は困惑した様子だけど頷いてくれた。
くぅ〜、こんな普通に話せるなんて夢みたいだ。
【あ、あとその姿だと何て呼べばいいの? 人間? それともバニッシュのまま? あ、もしかして、アピアス!?】
「え、えっと…好きに呼んで良いけど…」
【分かった! じゃあその姿の時はアピアスって呼ぶね!】
あ〜…人間の名前を知る事ができるなんて、夢に思ってなかったよ。にしても、人間の名前って妙だよね〜。意味が分かりづらい。アピアスって何か意味でもあるのかな。
【おいマーベリック。そろそろ良いか?】
本当はもっと話したいけど、トルネードも訊きたい事があるみたい。
まぁアピアスをここに連れて来たのは彼だし、ずっと独り占めする訳にもいかないもんね。
【うん、分かったよ】
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僕の前に、トルネードがやって来る。
正直、マーベリックはギラギラし過ぎて疲れたから彼との交換はちょっと助かる。
【話し方は好きで構わない。だが、質問したい事がある。いいか? バニッシュ】
トルネードは、僕の姿でもバニッシュの名で呼ぶ事に統一したみたいだ。
まぁ、フェアリーもそうだし、その名前も自分の名前だから別に良いんだけど。
「な、なに…?」
【お前、俺がここに連れてく前、様子がおかしくなかったか? 人間にまで危害を加えてよ】
僕は、そのトルネードの質問に顔を伏せた。
一度気を失い、マーベリックにもあんな勢いで来られて少しは落ち着いたが、やはり、どうしてもあの事を忘れられない。
「昨日、僕のお父さんが殺されたんだ」
【お前の? それは…人間の方のって事か?】
僕は頷き、話を続ける。
「警備が手薄になったって言ったでしょ? それは、監視塔が壊されたからなんだけど…その監視塔に、僕のお父さんがいて…」
トルネードは、黙って僕の話を聴いている。
「それから…僕の心に穴が空いた感じがして…もう…どうにでもなれってなったんだ…。それで…とにかく暴れちゃって…」
【なるほどな。そんな事か】
そんな事…?
僕のお父さんの死が…そんな事…?
「お前に…俺の何が分かる…」
【なに?】
「お父さんが死んだんだぞ!? 十年以上一緒にいてくれた親が、殺されたんだ!!! それを、そんな事って言うのかよ!!!」
【まぁ…そうだな】
こいつ…!
【そんな事で、自分の信念曲げたってのか?】
え?
「ど、どういう…」
【お前は、今までも人間を守ってきたんだろ? それは、確かな信念があった筈だ。それを、父親を理由にして曲げるのか?】
「お前には分かんないさ…。だって…」
【あぁ、俺は産まれる前に父親が殺されたからな】
え?
僕は、トルネードの衝撃的な告白を聞いて固まった。
産まれる前に殺された? トルネードの父親が?
【その父親とは、相当思い入れがあったんだろうな。正直羨ましいよ。俺は、父親の顔すら知らねぇから】
トルネードはそう言った後、僕に顔を寄せてきた。
その目は鋭く、僕の目に突き刺さる。
【思い出があるなら分かる筈だ。その父親が、お前に何をして欲しいか。それは、人間に危害を加える事なのか?】
「お父さんが…僕にして欲しい事…?」
【そうだ。それをしっかり考えろ】
ん?
トルネードが、僕から去っていったと思うと僕の腕を拘束していた布を取った。
僕は驚き、トルネードを二度見する。
【訊きたかったのはそれだけだ。どうも、それが妙に気になってな】
トルネードはマーベリックに布を返し、首だけを僕の方に振り返る。
【その父親との思い出、汚すんじゃねぇぞ】
僕は、何も言えなかった。
まだ、考えが纏まって無かったのかもしれない。
僕は、特に何も言えずにその場から姿を消した。
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バニッシュが消え、静寂が訪れた。
まさか奴がマーベリックの友達だったという事にも驚いたが、さらに奴が人間と融合していたなんて、多分この先あれ以上の衝撃は来ないだろうな。
【悪いなマーベリック。勝手に帰して】
【ううん、別に良いよ。彼なら、きっとまた帰ってくれるから】
勝手に帰してしまったというのに、こいつは本当に優しいな。
【ハッ、そう言ってくれる友達がいるなんて…奴は幸せ者だな】
【何言ってるの? 僕とトルネードも友達じゃん】
当たり前の様にそう言ってきたマーベリックに、俺は一瞬固まった。
そうか。俺はこいつと友達になってたのか。
【フッ…あぁ、そうだな】
微笑む俺に、それをジッと見ていたチビはこれでもかと首を傾げていた。
おっと忘れていた。こいつの練習があったな。
【よし、一先ず用事は済んだし…飛ぶ練習でもするかチビ。マーベリックも、手伝ってもらっていいか?】
【もちろん!】
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お父さんが僕にして欲しい事…。
僕は、それを考えながら街中を歩いていた。
途端、人の悲鳴が聞こえてきた。
何事かと思い、僕はその方へ走る。
すると、車が人を乗せずに暴走していた。まさか誰かが、車の電源を切り忘れたのか?
そこで、僕は考えた。
お父さんなら、どうしていただろう。
いや、考えるまでもない。
そうだ…お父さんなら…。
決心し、僕は路地に入って自身を転送する。
僕から俺へと切り替わり、俺は暴走する車へ先回り車を受け止めた。
そうだ。考えるまでもない。
お父さんなら、命懸けで人を守る。だから、お父さんはドラゴンスレイヤーになったんだ。
俺は振り返り、背後にいた怯える女性を見る。
彼女は赤ん坊を抱いており、すぐに母親なんだと分かった。
今までは、リーシャを守りたいから戦っていた。リーシャの笑顔を、思い出を。
でも、これからはお父さんの想いも守るんだ。
今までと変わらない。リーシャにも、お父さんにも認められる様になってやる。
人を守り続けて、お父さんの想いを守ってやる。
俺は、そう改めて心に誓った。
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バニッシュが暴走した車を受け止めたのを、周りの人間は目撃していた。
そしてその中には、路地で見つめるあのダンとクリスタナも含まれていた。
「クリスタナ〜。車を暴走させるなんて、そんなちっぽけな事する必要ある〜?」
「えぇ、あるわ。人の恐怖心を煽る為にも」
「そっか…。まぁクリスタナが言うには、間違い無いんだろうけどね」
ダンはそう言うと、クリスタナに背中を向け、彼女に見えない様に四角い小さな箱を取り出した。
彼はそれを黙って見続け、背中を向けたまま口を開く。
「クリスタナ…楽しみだね。計画の成功が」
「えぇ、そうね」
クリスタナは特に表情を変えず、ダンを無視してその場から去っていく。
ダンは、背中を向けている為にそれに気付いていないが。
「あ、あとさクリスタナ…。もし…計画が成功したら…その…」
ようやくダンが箱を持ちながら振り返るが、既にクリスタナはそこにはいなかった。
ダンは急いで辺りを見渡し、クリスタナの背中を見つける。
「あ、ちょ、ちょっと待ってよクリスタナ!」
ダンは箱を仕舞い、彼女の背中を追いかけていった。
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俺、マーカス・ラーリーは今回の報告書を提出し終え、帰宅の準備をしていた。
アルゴラが破壊されて、ドラゴンが何匹か浸入してきた。
しかし、ドラゴン側もヒュードン教を恐れてか、あまり大勢で来ないのは助かる。おかげで、戦争は免れた。
それにしても、あのバニッシュってドラゴン。一体何だったんだろうか。以前は俺達に協力的だったのに、今回は違った。
あの後、部下が横模様のドラゴンを殺し何とか事態は収まったらしいが、バニッシュと一緒に現れた紺色のドラゴンは取り逃がしてしまった。
バニッシュの方は、夕方に暴走した車を止めたらしいが、俺はあの一件から奴に不信感が溜まっていく。
「やっぱり…ドラゴンは信用ならない…か…」
ファーナー隊長とマンハッタン元隊長は、奴に協力的だったけど、俺にはどうしてもそんな事できない。やっぱりあいつは、敵だ。
その為にも、俺がもっと力を付けなければ。
もっと強くなって、この国を守らなくては。
ドラゴンなんかに、この国を任せてなんかいられない。




