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ダブルイメージ  作者: ナメゐクジ
第2章
20/29

第20話「VANISH'S HEART」

できれば文字数を短くしたいと思ってます。でも、次回とかめっちゃ文字数多くなるんだろうなぁ…

白い雲が浮かぶ青空を、鳥が何事も無かったかの様に飛んでいた。


僕は俺と融合した山に来ている。

ここは山と言っても、人の手が加わっており実質大きな公園と言ってもいい施設だ。


小さい頃、よくお父さんにここへ連れて来てもらった。

ここは、そういう意味でも特別な場所だ。お父さんの思い出が、沢山詰まってる。


でも、お父さんはもういない。


《ドラゴンスレイヤー ジフォード合衆国防衛第一部隊隊長ジオ・ファーナー死去。アルゴラも破壊され、ジフォード合衆国最大の危機》


一日経った今でも、何処もそのニュースで持ちきりだった。


守れなかった。僕のお父さんを。


お父さんだけじゃない。アルゴラの内部には、他のドラゴンスレイヤーもいた。

調査の結果、お父さん以外のドラゴンスレイヤーは、爆発の際には既にソーサラーに殺されていたらしいけど、その死んだリストが表示される度、僕はこれほどの人間も守れなかったんだと痛感されてしまう。


それに、アルゴラも破壊された。


この所為で、今まで最小限で済んでいたドラゴンの介入が大きく増加してしまう。


僕は一体、どうすれば良いんだろう…。


「アピアス君…」


ふと顔を上げると、そこにはリーシャが立っていた。


「リーシャ…」


「アピアス君…大丈夫…? クリント君には一人にしといた方が良いって言われたけど、どうしても放って置けなくて…」


流石クリント。よく分かってるじゃないか。

確かに今は、リーシャには悪いけど一人にして欲しい。

今は、とても人と話す気分じゃない。


「そ、その…元気出して? アピアス君のお父さんだってきっと…」


「お前にお父さんの何が分かる…」


「え?」


俺は立ち上がり、リーシャの襟を掴んだ。


「お前に俺の何が分かる!!!」


「ア、アピアス君…?」


「お前にお父さんの何が分かる! 俺の何が分かる! 俺のことなんて何も分からないくせに偉そうに言いやがって!!! お前なんかなぁ! お前なんかなぁ! あの時にころ…」


僕はそこでハッとし、手を離した。


僕は…僕は何て事をリーシャに言おうとしてたんだ…。


「ご、ごめん…リーシャ…。ぼ、僕は…僕は…」


僕は混乱する中、あてもなく走った。


とにかく、リーシャから離れていたい。

とにかく、一人でいたい。

とにかく、何も考えていたくない。


僕は走った。走って、走って、走りまくった。


それでも、僕のこの心の穴は埋まりそうにない。

僕は足を止め、誰もいない森の中で叫んだ。


「ああああああああああああああああああああああああガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」


途中で俺へと切り替え、俺は翼を広げて空へ舞う。


俺に切り替えれば、少しでもこの心の穴は埋まるのかと思ったが、不思議とそうにはならない。

ジオ・ファーナーは、俺にとっては赤の他人なのに。俺にとっては下等な生き物の一人に過ぎないのに。


俺は、とにかく飛んだ。


行き先は考えてない。


とにかく、とにかく飛んだ。


無性に、暴れてしまいたい気分だった。



ーーーーーーーーーーーーーーーー



対ドラゴン用変形人型ロボット・ゴーレムはとても強力だが操縦に癖があるのが難点だ。

その為、ドラゴンスレイヤーの間ではゴーレムは「暴れ馬」と呼ばれている。


だから、ゴーレムの操縦士は一握りの人物に限られる訳で…。


「うあっ!」


俺、マーカス・ラーリーはどうやらその一握りには入れないらしい。


「グオオオォォォォォォォ!!!」


ゴーレムの操縦席に映るモニターから、水色の横縞模様が入った白いドラゴンが吠えるのが見えた。

昨日、アルゴラが破壊されてから、ドラゴンの侵入が圧倒的に多くなった。

今も各地で、各防衛隊がドラゴンと戦闘をしている最中だ。


ファーナー隊長はもういない。

今の防衛第一部隊隊長はこの俺マーカス・ラーリーなんだ。

俺がしっかりしないと駄目なんだ。ファーナー隊長の愛機を使って、この国を守らなくては。


「各隊員は引き続き援護を頼む! 絶対! この国を守るぞ!」


俺はマイクを通して、周りの隊員とそして何より自分自身に喝を入れる。


「グアアアアアアア!!!」


突然、上空からドラゴンの咆哮が聞こえた。


マジかよ。二匹目かよ。勘弁しろよな。


上空からドラゴンの巨体が見え、俺はゴーレムを操作してそのドラゴンの姿を確認する。

ん? 体色が黒い…。まさか! バニッシュか!?


「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」


バニッシュは地面に着地した途端、空に向かって吠えた。

何だか様子がおかしい。前会った時、あんなんだったか?


「グアアアアアアアアアアアアアア!!!!」


バニッシュはいきなり、横模様のドラゴンに殴りかかってきた。

横模様のドラゴンも黙ってる筈もなく、バニッシュに吠え返し、背中の翼を輝かせる。


戦って分かったが、この横模様のドラゴンの魔法は「翼を刃に変える魔法」らしい。

横模様のドラゴンは、低空飛行をしてバニッシュに迫る。翼を刃に変えても、飛行能力は変わらないみたいだ。


バニッシュはこの攻撃を避けるのかと思ったが、意外にもそれを受け止めた。


「ガアッ! ガアアアアアアアアア!!!」


そして受け止めたドラゴンの後頭部に肘打ちし、倒れた奴を何度もその足で踏みつけた。


やっぱり様子がおかしい。何ていうか…戦い方が荒っぽい。


「グオオッ!」


流石に横模様のドラゴンも、踏み続けられる訳もいかず、バニッシュを押して無理矢理立ち上がる。


ドラゴン同士の戦いは、いつ見ても戦慄する。


バニッシュは拳を、横模様のドラゴンは刃に変えた翼を振って戦い続ける。

おかげで、周りの建物や車がどんどん粉々に壊されていく。


ドラゴンスレイヤーの俺達が、こんな事態を黙って見てる訳にもいかない。


「各位! 二匹のドラゴンを止めるぞ!」


ファーナー隊長は、バニッシュは味方だと考えていたらしいが、今のこの状況、どう考えたってバニッシュは人間達にとっての脅威だ。


俺はゴーレムを操縦し、バニッシュの方へ向かう。

確かバニッシュは、ニーべニウムに触れると何故か動けなくなる。ならば、ニーべニウム製のゴーレムで奴の動きを封じることができる筈。

理由は分からないが、これが唯一にして最良のバニッシュの対処法だ。


「俺はバニッシュを止める! 第一班! 第四班! 第七班! 俺に続け! 他の班はもう一匹のドラゴンを頼む!」


「了解!!!」


俺達は二手に分かれ、バニッシュと横模様のドラゴンへと向かう。


「やめろお!!!」


俺はゴーレムを操縦し、バニッシュにチェーンソーを振り下ろす。

だがバニッシュは、それをすんでのところでテレポートをして避けた。


そして気が付くと奴は俺の背後に移動しており、小さな黒い光弾を何発もゴーレムに放ってきた。

ゴーレムと俺自身に強い衝撃が襲いかかる。

流石のゴーレムもこの衝撃には耐えられない様で、俺は機体ごと横に倒れてしまった。


ゴーレムの内部は非常警報が鳴り響く。

しかし、俺はそのアラームの中、逆に意識が薄れていく。


クソッ…バニッシュめ…。味方なんじゃなかったのかよ…。


俺の瞼は、俺の意思に反して徐々に閉じていく。

そして、俺は確かにその目で見た。

完全に瞼が閉じるその直前、ビルの屋上にもう一匹のドラゴンが突如として現れたのを。


「グオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」



ーーーーーーーーーーーーーーーー



あいつ…何やってんだ。


人間のロボットが倒れ、奴はあろうことかそのロボットにまで近づいていく。

あのロボットには人間が乗っている筈だ。人間を守るのは癪に触る。だが、奴が人間を襲うところを見るのは何か嫌だ。


俺は人間の建物の上で肉体を形成する。


「グオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」


俺の咆哮に気が付き、人間共と横模様のドラゴン、そして奴…バニッシュは俺の方へ顔を向けた。


【トルネード…!】


ほう、俺の事を覚えていたか。正直意外だ。こいつ、何匹ものドラゴンの名前を全員覚えてるんだろうか。


【何の用だ! 俺は今無性に暴れたい気分なんだ!】


【ちょっとしたお使いだ。安心しろ。すぐに終わらせる】


俺はすぐにバニッシュの方へ飛び、奴を人間の建物に叩きつける。


【てめぇ…聞いてなかったのか? 今俺は暴れてぇ気分なんだよ!!!】


【だったら付き合ってやるさ】


俺は右腕を風のドリルへと変え、奴に突き刺そうとする。

しかし、奴は魔法を発動させ一瞬でその場から俺の背後へと移動し、俺の顔を殴った。


俺は建物に顔をぶつけ、口に溜まった血を吐きながら振り返って奴を睨む。


以前戦った時から思ってはいたが、面倒な魔法だ。

それに何より、その魔法の応用で奴は衝撃波を放つ事ができる。俺の魔法と衝撃波の相性は、はっきり言って最悪だ。


【忘れたのか? 俺は一度お前に勝ってんだ!】


奴は俺に拳を突き出してきた。

拳だけなら警戒する必要もない。俺はそれを風になって避け、奴を後ろから羽交い締めにする。


【忘れたのか? 俺は一度お前と戦ってる!】


俺は奴の首元に噛み付いた。


「グオオオッ!!!」


流石に痛かったのか奴は悲痛の声を上げ、自分だけ姿を消して、俺から少し離れた位置で睨み合う形で転送した。


やっぱり、転送の魔法は厄介だ。


こんな時に、人間は何をやっている。


横模様のドラゴンと戦い続けている人間もいるが、俺達の近くにいる人間共はどっちを攻撃すればいいのか困惑しているみたいだ。

全く、こんな時に司令塔は何してるんだ。


ん? 一人の人間が何か言い始めた。


あまり意識してなかったから聞き取れなかったが、人間共は二手に分かれて俺とバニッシュを銃で狙い始める。


なるほど。迷った結果、両方に攻撃しようって事か。

まぁ確かに、それが一番理にかなってるか。


そう言えば…あいつって確か…。


人間共が、俺に向かってレーザーを撃ってきた。

だが、レーザーなら風になれば無効化できる。

俺は体を風に変換し、ついでにレーザーをあえて受け止めて人間に咆哮を上げてきたバニッシュを捉える。


【てめぇ! 何やっても無駄だぞ!】


【だろうな。だが…】


俺は奴に転送する気を与えず、その場に倒れている人間のロボットに奴を押し付けた。

こいつは、以前との戦いで人間の放ったワイヤーを食らって異常に弱まっていた。

そしてこのロボットは確か、あのワイヤーと同じ素材が使われていると聞いた事がある。

何故奴がこの素材を苦手としているのかは分からない。だが、奴を黙らせるには好都合だ。


「ガァッ! グアァッ! グッ…ウゥ…ガァ…」


この素材 ー確か「ニーべニウム」と言ったかー には魔断石と同じ効果がある。

奴は転送もできず、テレパシーを送る事もできない。

そして読み通り、奴の意識はどんどん薄れていく。


人間共も、バニッシュを制圧している俺に無闇に攻撃ができないのか、俺やバニッシュに銃口を向けるだけで撃ちやしない。

構えるだけならあっちの横模様のドラゴンでも狩っとけばどうだ? まぁあっちのドラゴンもそろそろ終わりそうだが。元々あのドラゴンもそんなに強くなかったみたいだな。


気が付けば、奴の目はもう半目でしばらくは抵抗できない程に弱っていた。

これ以上するとどうなるか分からない。俺は奴を起こす。


その途端、人間共は俺にレーザーを撃ってきた。


「グオオッ!」


対ドラゴン用のレーザーなので、体に痛みは走るが、俺はなんとか我慢して自身を風に変換する。

風になってしまえば、レーザーなど当たらない。

そして俺は竜巻を形成し、バニッシュをそのまま空へと運んでいった。


にしてもバニッシュの奴、相当ニーべニウムが苦手らしい。

さっき何発かレーザーに当たったが、それでも反応が無かった。このまま死ななければいいが…。

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