↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神枷を宿す少年は、大切な人を守るため剣を振る  作者: なごやかたろう
森の暴走

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
83/93

森の暴走-02

 教師たちの迎撃は続いていた。

 剣が閃き、魔法が夜を照らす。

 防衛線へたどり着いたゴブリンは次々と倒され、生徒たちへ近づくことすらできない。


「このまま押し返せる!」


 誰かが安堵した声を漏らした。

 しかし。


「……違う。」


 ノアは小さく呟いた。

 隣にいたレオンが振り向く。


「何がだ?」


 ノアは森の入口を見つめたまま答える。


「数が減っていない。」

「え?」


 レオンも改めて前方へ目を向ける。

 確かに教師たちは何匹ものゴブリンを倒している。

 それなのに。

 森の奥から、新たなゴブリンが次々と飛び出してくる。


「……本当だ。」


 リリアもその異変に気づいた。


「倒しても、すぐ後ろから出てくる。」


 ミリアが不安そうに呟く。


「こんなにたくさん……。」


 ノアは静かに首を振る。


「数だけじゃない。」

「見て。」


 三人はノアの視線を追う。

 一匹のゴブリンが、教師の横をすり抜けようとしていた。

 だが、剣を振り上げることもなく、そのまま反対側の森へ駆け抜けていく。


「戦ってない……。」


 リリアが驚いた声を上げる。

 さらに別の一匹も。

 また別の一匹も。

 教師を見ても立ち向かわず、ただ必死に走り続けていた。

 その表情には怒りではなく、明らかな恐怖が浮かんでいる。


「やっぱりだ。」


 ノアは確信を持って言った。


「あのゴブリンたちは、僕たちを襲いに来たんじゃない。」

「逃げてきたんだ。」


 レオンの表情が険しくなる。


「つまり……。」

「もっと危険な何かが後ろにいる。」


 ノアは頷く。

 そして、地面へ視線を落とした。

 ズン……。

 ズン……。

 一定の間隔で伝わってくる振動。


「この揺れ……。」


 ノアは目を閉じる。

 ガレスと森を歩いた日の記憶が蘇る。

 ――地面は嘘をつかない。

 ――目で見えなくても、足の裏が教えてくれる。

 ノアはゆっくり目を開いた。


「一匹じゃない……?」


 レオンが尋ねる。


「いや。」


 ノアは首を横に振る。


「一匹だと思う。」

「でも……。」


 その先を言葉にできなかった。

 一匹の足音とは思えないほど、大地が揺れている。

 まるで、小さな地震が近づいてくるようだった。


 その時。

 森の奥から、これまでとは比べものにならないほど大きな咆哮が響いた。


 「グォォォオオオオオッ!!」


 空気が震え、木々が大きく揺れる。

 ゴブリンたちは悲鳴を上げるように速度を上げ、一斉に野営地の横を駆け抜けていった。

 教師たちの表情からも、完全に余裕が消える。

 クラウスは咆哮の響いた森の奥を睨みつけ、小さく呟いた。


「……来るぞ。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。