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神枷を宿す少年は、大切な人を守るため剣を振る  作者: なごやかたろう
予定外

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80/93

予定外-05

 どれほど時間が過ぎただろうか。

 見張りの交代を終えたノアは、テントの中で浅い眠りについていた。


 その時だった。

 ――ゴォォンッ!

 森の奥から、鈍く重い音が夜の静寂を切り裂いた。

 まるで、大木が倒れたような轟音。

 ノアは勢いよく目を開いた。


「今の音……!」


 隣ではレオンもすでに起き上がり、剣を手にしている。


「外へ出るぞ。」


 二人がテントを飛び出すと、向かいのテントからリリアとミリアも慌てて姿を現した。


「何があったの?」

「分からない。」


 ノアは森の奥を見つめる。

 その時。

 バサバサバサッ!

 突然、森の奥から無数の鳥が一斉に飛び立った。

 夜空へ舞い上がる黒い影。

 その数は異様だった。

 まるで森全体が騒ぎ始めたかのように。

 周囲の生徒たちもざわめき始める。


「何だ?」

「魔物か?」

「こんなの演習で聞いてないぞ!」


 野営地の中央では、教師たちもすでに集まっていた。

 セシルが森を見つめながら言う。


「大きな魔物でしょうか……。」


 クラウスは鋭い目で闇の奥を見据える。

 しばらく耳を澄ませると、小さく首を振った。


「……違う。」


 その声は低く、重かった。


「この音は一匹じゃねぇ。」


 セシルの表情が変わる。


「では……。」


 クラウスはすぐに周囲の教師たちへ指示を飛ばした。


「全教師、警戒態勢!」

「担当区域を確認しろ!」

「はい!」


 教師たちが一斉に動き出す。

 その様子を見ていた一年生たちの緊張も一気に高まった。

 ノアは森の奥を見つめたまま、小さく呟く。


「……来る。」

「え?」


 リリアが振り向く。

 ノアは答えず、ただ闇の向こうを見つめ続ける。

 耳を澄ませる。

 風の音。

 木々の揺れる音。


 そして――。

 ドドドドド……。

 地面を伝う、かすかな振動。

 何かが、こちらへ向かってきている。

 しかも、一つや二つではない。

 夜の森から聞こえてくる足音は、刻一刻と大きくなっていた。

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