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神枷を宿す少年は、大切な人を守るため剣を振る  作者: なごやかたろう
予定外

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76/93

予定外-01

 夕暮れ。

 第一班は予定されていた野営地へ到着した。

 森が少し開けた広場には、すでにいくつかの班が到着しており、教師たちが手際よく人数を確認している。


「第一班、到着しました。」


 ノアが報告すると、名簿を手にした教師が頷く。


「四名、全員そろっていますね。」

「はい。」


 少し離れた場所では、クラウス・フェルナーが腕を組みながら全体を見渡していた。

 その隣には、副担任のセシル・アストレアの姿もある。


「今のところ、遅れている班はありません。」


 セシルが報告すると、クラウスは満足そうに鼻を鳴らした。


「上出来だ。」

「ここまでは、な。」


 その言葉に、セシルは小さく微笑む。


「ですが、一年生とは思えないほど落ち着いています。」

「特に第一班は。」


 クラウスの視線がノアたちへ向く。

 レオンが周囲を確認しながら荷物を降ろし、リリアとミリアも手分けして野営の準備を始めている。

 その中で、ノアは地図を広げ、周囲の地形を見比べていた。


「役割分担も自然ですね。」

「ああ。」


 クラウスは短く答える。


「誰か一人が目立つんじゃねぇ。」

「それぞれが、自分の役目を理解して動いている。」


 その様子を見届けると、クラウスは大きく声を張った。


「よし!」

「全班、これより野営準備を開始!」

「日没までにテント設営、炊事、周辺確認を済ませろ!」

「質問はあるか!」


 誰も手を挙げない。


「よし、始め!」


 その号令とともに、静かだった広場が一気に活気づいた。

 あちこちで杭を打つ音が響き、水を汲みに向かう生徒たちの姿が見える。

 第一班も自然と動き出した。


「レオン、テントお願い。」

「任せろ。」

「リリアとミリアは夕食の準備を。」

「分かったわ。」

「はい!」


 ノア自身は荷物を置くと、広場の外れへ歩いていく。

 レオンが声を掛けた。


「どこへ行く?」

「少し周囲を見てくる。」

「すぐ戻るよ。」


 広場を囲む木々へ視線を向ける。

 風向き。

 地面の状態。

 獣道の位置。

 そして、森の音。

 耳を澄ませる。

 昼間よりも静かな森。

 何かがおかしい。

 そう感じるのに、その理由だけが分からない。


「……気のせい、かな。」


 ノアは小さく呟き、広場へ戻っていく。

 その背中を、森の奥から吹いてきた一陣の風が静かに追い越していった。

 木々はざわめく。

 けれど、そのざわめきの意味を知る者は、まだ誰もいなかった。

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