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神枷を宿す少年は、大切な人を守るため剣を振る  作者: なごやかたろう
森へ

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森へ-04

 役割を決め終えた四人は、その足で学園の図書館へ向かった。

 夕暮れの図書館は静かで、ページをめくる音だけが響いている。

 ノアは迷うことなく、書架の一角へ足を運んだ。


「こっちだよ。」


 棚から取り出したのは、『アルディア演習森林 地誌』と『王国北部魔物図鑑』だった。

 さらに、森で見られる薬草について記された薄い本も抱える。

 レオンは目を丸くした。


「演習の資料だけじゃないのか?」


 ノアは本を机に並べながら笑う。


「演習の資料には、森の大まかなことしか書いてないから。」

「実際に行くなら、地形や魔物の特徴も知っておいた方が安心できるよ。」


 リリアが『アルディア演習森林 地誌』を開く。


「この森、北側は傾斜が多いのね。」

「ええと……南には小川も流れてる。」

「うん。」


 ノアは頷いた。


「雨が降った後は、その小川の近くは足元がぬかるみやすいみたい。」


 ミリアが感心したように言う。


「そこまで調べるんだ……。」

「父さんがよく言ってたんだ。」


 ノアはページをめくりながら答える。


「『戦う前に、勝負は始まっている』って。」

「敵のことだけじゃない。」

「地形や天気、自分たちが立っている場所も全部味方につけろって。」


 その言葉に、レオンは静かに頷いた。


「なるほど。」

「だからお前は、いつも周りをよく見ているんだな。」


 ノアは少し照れくさそうに笑う。


「まだ父さんみたいには全然できないけどね。」


 リリアは魔物図鑑を手に取り、ページをめくる。


「ホーンラビットは、驚くと一直線に突進する……。」

「ゴブリンは群れで行動することが多い、と。」


 ミリアも薬草の本を開いた。


「この薬草、止血に使えるんですね。」

「回復魔法だけに頼らなくてもいいんだ……。」


 ノアは嬉しそうに頷く。


「もし魔力が少なくなった時でも、知っていれば役に立つから。」


 四人はそれぞれ本を読み進める。

 剣を磨く者。

 魔法を磨く者。

 知識を磨く者。

 その時間は違っても、目指すものは同じだった。

 窓の外では、夕日がゆっくりと沈み始めている。

 アルディア演習森林へ向かう日まで、あとわずか。

 四人は静かな図書館で、それぞれにできる準備を積み重ねていた。

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