表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神枷を宿す少年は、大切な人を守るため剣を振る  作者: なごやかたろう
森の約束

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
4/10

森の約束-04

 花冠を頭に乗せたリリアは、何度も嬉しそうに触れていた。


「かわいい……。」

「似合ってるよ。」

「ほんと?」

「うん。」


 ノアが頷くと、リリアは照れくさそうにはにかんだ。

 その笑顔につられて、ノアも笑う。


「そろそろ帰ろうか。」

「うん。」


 二人は並んで森の小道を歩き始めた。

 ノアは薬草の入った籠を抱え、リリアは花冠を落とさないように何度も頭を押さえている。

 少し歩いたところで、リリアが小さく首をかしげた。


「ノアのおうちは、この近くなの?」

「うん。歩いて三十分くらい。」

「遠いんだ。」

「慣れてるから平気だよ。」

「毎日この森を歩くの?」

「剣の練習もここですることがあるよ。」

「森で?」

「広い場所があるんだ。」

「見てみたい!」

「え?」

「ノアが剣を振るところ!」


 期待に満ちた瞳で見つめられ、ノアは少し困ったように笑った。


「そんなにすごくないよ?」

「でも五百回も振るんでしょ?」

「うん。」

「だったら、きっとすごい!」


 そんな真っ直ぐな言葉に、ノアは少しだけ顔を赤くした。


「じゃあ……今度ね。」

「約束?」

「約束。」


 ノアが小指を差し出す。

 リリアは少し不思議そうに眺めた。


「これ、なあに?」

「あれ?」


 ノアは目を丸くした。


「知らない?」


 リリアは首を横に振る。


「約束するときにやるんだ。」

「へぇ。」


 恐る恐る、小さな指を絡める。

 二人の小指が、ぎこちなく結ばれた。


「これで約束。」

「ふふっ。」


 リリアが笑う。

 その笑顔が嬉しくて、ノアも笑った。

 少し歩くと、小川が見えてきた。

 透き通った水の中を、小さな魚が泳いでいる。


「きれい……。」


 リリアは思わずしゃがみ込み、水面を覗き込んだ。

 その横で、ノアも同じようにしゃがむ。


「この川ね、夏になるともっと魚が増えるんだ。」

「そうなの?」

「兄さんとよく捕まえるんだ。」

「いいなぁ。」

「リリアも来る?」

「行きたい!」

「じゃあ夏になったら。」

「ほんと?」

「うん。」

「約束が増えた。」


 リリアは嬉しそうに指を折って数える。


「剣を見る約束。」

「お魚を捕る約束。」

「あとね……。」


 少し考えてから、にっこり笑った。


「また遊ぶ約束。」

「もちろん。」


 ノアは迷わず頷いた。


「僕も、リリアと遊びたい。」


 その言葉を聞いたリリアは、少しだけ頬を赤く染める。

 胸の奥が、ぽかぽかと温かくなる。

 さっきまで怖くて泣いていたことなんて、もう忘れてしまいそうだった。

 二人は夕日に照らされながら、ゆっくりと森の出口を目指す。

 どこにでもある、ありふれた一日。

 この時の二人はまだ知らない。

 この「またね」という約束が、想像もしなかった運命へとつながっていくことを。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ