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全部で、大金貨3枚

食べた後では……

 リンに実地研修みたいな事をしながら森の奥へと進んで行くと、モンスターの出現率が上がっていき……


「リン、今だ!」

「はい!」


 俺の指示で、リンはオーガの首を見事に斬り倒した。

 まあ、ダンジョンで散々、ヘルモードの戦闘を繰り返したからなぁ。

 この様子なら、もう俺の指示は要らないな。

 そして、俺とキサラが周りを警戒してリンがオーガを解体する。

 まあ、コレも冒険者としての勉強だよ。


「終わりました、ライ様」

「ああ、見事だ」

「ありがとうございます、ライ様!」


 オーガの解体は綺麗に出来ていたから、リンを褒めたら、顔を赤くして俺にお礼を言った。

 序でだから、頭撫で撫でも追加した。


「え? えへへへ」


 さて、大森林の中層辺りに来たのだが、そろそろ夕方だ。

 野営する場所を探さないとな。


 ……有った!


 少し辺りを見渡すと洞窟を発見した。

 大森林と言っても、中には小山が点在しているから、こういう洞窟が有ったりする。


「あの洞窟を今日の宿にしよう」

「分かったのじゃ」

「ハイ、ライ様」


 洞窟に入ろうとすると、結界が張られていたから、とりあえず破壊した。


「ライ様……」

「ライよ……」

「出来るんだからしょうがないだろ!」


 実は、結界破壊は、世間一般的には高難易度な技術だったりする訳だ。


 んで、入ってみると、中は結構広かったのだが、既に誰かが居た。

 まあ、結界が張られていたから当たり前か。


「これ以上近付いたら撃ちます!」


 居たのは、かなり服がボロボロで、必要以上にお肌を晒している3人のエルフ達で、魔法攻撃が直ぐに出来る状態にいた。


 ……まあ、結界を軽々と破壊したからなぁ。


「俺達は君達に、危害を与える気が無いから話し合わないか?」


 とりあえず、洞窟の出入り口に結界を張り直したら、エルフ達は、力が抜けたかの様にその場でペタンと座った。


「結界をあんなに簡単に張るなんて……」

「しかも、無詠唱で……」

「それに、今張った結界、私達が張った結界よりも強力なヤツだわ」


 まあ、第6位階魔法の「大結界」だしな。


「……話し合いに応じるわ」

「それは良かった」

「それで、貴方達は、何故、こんな奥まで来ているの?」

「ああ。今、この大森林に異常が発生しているだろ? 俺達は、その調査に来たんだ」

「……人族が異常を知ってしまう程に広がっているみたいね」

「何か、知っているのか?」

「実は……」

「待って!」

「ここまで異常が広まってしまった以上は、もう私達だけでは手に負えないわ」

「それはそうだけど……」

「話して貰えるかな?」

「実は……」


 話の内容が、このエルフ達3人は、この大森林に居を置くエルフ族の一員で、都市リザラルトが出来る前から暮らしていたが、ほんの数週間前から、エルフ達が暮らす村より更に奥で異常が発生した。

 そこで、エルフ達は、二手に分かれた。


 異常発生の原因究明と、人族に森の異常を悟らせない為の鎮静の二手に。

 しかし、その鎮静に向かったエルフ達は、その激務に疲れ切っていた。

 しかも、物資を運んでくる筈のエルフが3日前から来なくなった。

 それに、鎮静に向かったエルフ達は、広範囲に広がっていてお互いに連絡が取れないでいた。

 そんな心身共に追い詰められている時に俺達が来た訳だ。


「大変だっただろう? 良く頑張ったな」

「ひ、人族の貴方に、そんな事を言われても嬉しくないわ」

「それもそうだな」


 この世界のエルフ族は、基本的には他種族との交流をかなり制限している。

 しかも、かなりの長寿の為、良くも悪くも誇り高いのも有って、他種族を見下している。

 そんな訳で、エルフ達は、この異常を自分達で解決しようとしたのだろうな。


 勿論、隣人である人族リザラルトに協力を要請しないのも異世界ラノベでのテンプレである「奴隷」が原因の1つだ。


「……ねえ」

「何?」

「こうなったら……」

「無理よ!」

「でも……」

「分かっているわ!」

「それなら……」


 何か、エルフ達3人が内緒話を始めたみたいで、俺達は夕食の準備を始めた……6人分で。


「だから……」

「待って!」

「どうしたの?」

「美味しそうな匂い」

「貴女ねぇ」

「本当に良い匂いだわ」

「貴女まで!」

「良かったら、一緒に夕食にしないか?」


 スープの方には、念の為に「動物系」は入れていない。 

 前世で視聴した、異世界に店を土曜日だけ開く食堂のアニメから参考にして、野菜とかの植物オンリーのスープにした。

 勿論、それだけじゃあ、俺達の方が参るから、肉系は別に用意してある。


 ……が、そうでも無かったみたいで、今、3人のエルフ達は3枚目のオークのステーキ400gを食べている。


「「「美味しかった……」」」

「お粗末様」


 あれだけ食えば、体調不良は無いだろう。


「なあ?」

「何?」

「俺達も、大森林の異常の原因究明に参加させて欲しい」

「それは!」

「良いわ」

「待って!」

「大丈夫よ」

「でも……」


 また内緒話が始まった。


「相手は3人で、しかも2人は女よ」

「それでも!」

「それに、あの強力な結界は『使える』わ」

「……分かったわ」


 内緒話が終わったみたいだな。


「貴方の申し出、受けるわ」

「それは良かった。それなら、先程の食事の代金は請求しない」

「「「え!?」」」

「実は、スープには身体に良い薬草を幾つか入れていてな。人族の間では、その薬草を売れば、4人家族が10ヶ月暮らせるだけの価値がある薬草を入れた」

「ち、因みに、そ、その、い、入れた薬草はお幾らかしら?」

「全部で、大金貨3枚」

「「「ひっ!」」」

「ライ……」

「ライ様……」


 ジト目になるキサラとリンを無視して言った。


「勿論、良き隣人としての君達から食事代を請求しないよ」

「「「あ、ありがとう……」」」


 内緒話は、聴覚を強化して聴いていました。

 因みに、俺が言った薬草の話は本当だ。

 サラとの山暮らしで、それなりの薬草を「箱」に入れている。


 さて、文字通りに聞く耳を立てて聴いていたが、マジでヤバい状況かもしれないな。


 翌日、俺達は、3人のエルフ達の先導で森の奥に向かった。



厳しくも温かいメッセージを待っています!

そして、星の加点をお願いします。

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