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ゴォォォオッ!ゴォォォオ!!


恐ろしい音をたてながら街を練り歩くのは黒くて大きな怪獣。


「シギャァーーッ!!!」


その怪獣は高いような低いような不思議な声で吠えながら、鋭い爪や太い尻尾で建物を破壊しながら歩いていた。


「僕達の街が……。」


絶望に染まった顔で言葉と涙を流す少年の横には、傷付いて歩けない母に縋り付いて泣き喚く妹がいる。


母と妹を守らなければ。


少年は迫りくる怪獣から母と妹を隠すように立つが、巨大な怪獣の前では小さな少年など道端の石ころ同然。


「だ、誰か助けて……。」


怪獣の視界にすら入らない少年は恐怖に押し潰されそうになりながらも、神に祈った。


その時だ。


「そこまでよ!」


軽やかなBGMと共に空から降り立つ5つの光。


「ねこの国のお姫様!ラブリーねこ!!」


猫耳の赤い衣装を着た猫耳の女の子が招き猫のポーズで現れた。


「ペンギンの国のお姫様!ビューティーペンギン!!」


次に現れた青い服の女の子は地面に膝と両手をついたポーズをしている。


「カナリアの国のお姫様!キューティーカナリア!!」


両手を広げたポーズの黄色い服の女の子も降り立った。


「うさぎの国のお姫様!プリティうさぎ!!」


ピョンと飛び跳ねるようなポーズで現れた女の子はうさ耳の付いた緑色の服だ。


「オオカミの国のお姫様!クールオオカミ!!」


最後に降り立ったのは黒い服でふさふさな尻尾をスカートから覗かせた女の子だった。


「私達がいる限り!悪い子は許さない!!」


ラブリーネコを中心にバーン!と改めてポーズをとり直す。


「我ら!アニマル(ファイブ)!!」




「ウッヒョオオオアアア!キタキタキタでありますぅぅゔ!!」


ここはヒューの部屋。


そしてクリスタはヒューの作った魔道具でアニマル5のアニメを観ている。


神界やシルフの家にはあったが、クリスタの世界にはテレビと言う物はない。

何故ヒューの部屋でアニメを観ているかと言うと、ヒューが幼い頃にエレボス伯爵の知り合い(男)が書いた子供向けの紙芝居『アニマル5』を観て以来ヒューはその紙芝居の虜になったのだが、動かない絵&おっさんの野太いVoiceでは満足出来ずに自分で開発したらしい。

原理はわからないが、魔法具の中で生き生きと怪獣と戦う少女達は非常に精巧で可愛らしい声をしていた。


「ハァハァ…プリうさタン。今日も尊す。」


推しが尊い。


その気持ちはよくわかる。

うん、わかり過ぎる位よくわかるのたが!


そのプリティうさぎコトプリうさタンの外見、そして声までクリスタにそっくりだった。

そしてこの服!

ヒューから贈られたこの服は、プリティうさぎの衣装だったりもする。


ヒューが発明した魔法具は、テレビのないこの世界では画期的な物だとはわかるし、ヒューが天才なのも承知の上だ。


「プリうさタン!某も踏み付けて欲しいのであります!!」


クリスタそっくりのプリティうさぎを鼻息荒く崇拝する美少年を横目に、クリスタはただただ帰りたいと願うだけだった。

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