↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/391

88


「ラフォレーゼ大公令嬢、大丈夫ですか?」


座り込むクリスタに駆け寄り、膝をついてクリスタの顔を覗き込むチェイサー。


本っ当に声が良い。


「大丈夫です。」


むしろ詩織がゲームの画面で見ていた時のチェイサーよりも少し若いリアルチェイサーが目の前にいる事の方が大丈夫じゃない気がする。


リアルチェイサーっ!良い!!


語彙力がっ!と言われてもやむを得ない程、良いっ!って言葉しか出ない。


「ライム様、ラフォレーゼ大公令嬢に謝罪をなさって下さい。」


ライムに向けて放つ冷たい口調の声も良い!


今すぐシルフに会って女子トークのネタに語り合い気分だ。


「クリスタは僕よりチェイサー先生の方を好きになっちゃったの?」


色で気持ちがわかるライムには、クリスタのチェイサーの声に悶える胸の内が好意としてだだ漏れなのだろう。


「ライム様、まず謝罪を。」

「嫌だ!」


クリスタに謝れと言うチェイサーの言葉に拗ねた顔でぷいっと横を向いてしまった。


「お手を……ラフォレーゼ大公令嬢。」


拗ねる素振りのライムを冷たい目線で一瞥し、チェイサーはクリスタを立ち上がらせる為に手を伸ばす。


「ありがとうございます。」


チェイサーの手を借りたクリスタが立ち上がると、チェイサーがスカートに付いた汚れを払い、クリスタから一歩離れた。


「いえ、ライム様が申し訳ありません。」


そして深々と頭を下げたチェイサーにクリスタは首を横に振る。



「チェイサー様が謝る事ではありませんわ。」

「私は平民です。チェイサーとお呼び下さい。」


クーデレチェイサーを呼び捨てで呼ぶなど恐れ多い!とクリスタの中で詩織が魂の叫びを上げるが、クリスタは貴族でチェイサーは平民。

チェイサーが離れた一歩の距離は、クリスタとチェイサーの間にある身分と言う縮める事の出来ない距離でもある。


「申し遅れました。私はクリスタ=ラフォレーゼと申します。貴方はケルンズ様の家庭教師なのでしょう?私もチェイサー先生……とお呼びしてもよろしいでしょうか?私の事もケルンズ様同様名前で呼んでいただけると嬉しいです。」


チェイサーは未来のクリスタの数学の先生だ。

クリスタの中の詩織がチェイサーを呼び捨てにする事を拒否している為、チェイサー先生と呼んでみる。


「構いませんが、しかし…。」


クリスタの教師ではないのにクリスタを名前で呼んでも良いのだろうか……そう悩んでいるようだ。


「クリスタ!僕は君にプロポーズしたんだよ?わかってる?チェイサー先生もクリスタから離れて。」


チェイサーに対してのクリスタの好意がだだ漏れなのが面白くないライムが、無理矢理チェイサーを押してクリスタから離そうとするが、大人なチェイサーを子供なライムが押してもびくともしない。


「ライム様。ラ……クリスタ様に謝罪を。」


チェイサーがラフォレーゼ大公令嬢ではなくクリスタを名前で良い声で呼んだ!

リアルチェイサーの声、良いっ!!


「嫌だ!チェイサー先生の言う事なんて聞きたくない!!」


癇癪を起こすライムに冷静に対応するチェイサーだが、ゲームのチェイサーのような有無言わせない貫禄が足りないのは、やはり経験の差なのだろうか。


「ケルンズ様、私の好みの男性像は頭が良くて優しい方ですの。」


それはアルトゥールにも言った事。


「私を力任せに抱き締めたり、チェイサー先生の言う事も聞かないケルンズ様と、そんなケルンズ様から守って下さったチェイサー先生。どちらが私の好みの男性かおわかりでしょう?」


クリスタの怒りに、ライムの目が若干潤んでいる。


「ご…めんなさい。」


「ケルンズ様の謝罪を受け入れます。」


ライムが謝った事でクリスタから怒りが消え、ホッとしたライムの目から涙がポロポロとこぼれた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。