82
シルフと女子トークで盛り上がったあの日から、クリスタの頭には『オレ攻め』の裏ルートの事が離れなくなっていた。
創造神は引き篭もりのゲーマーなので基本的に人間が入る事の出来ない神域から外に出ない為、クリスタが接触するのは難しいとの事。
詩織が神域に入れたのは魂だけの存在であったのと、創造神が呼んだからである。
創造神のたまの外出は萌の供給目的で、『オレ攻め』の攻略対象者の幼い頃を見に行く位だ。
「やっぱり天寿を全うしするしかないのかなぁ。」
人が神域に行くには魂だけの存在にならなくてはならないので、今のクリスタには神域に行く事は出来ない。
「『オレ攻め』の別角度でプレイが出来る……って想像すら出来なくて気になる!!」
貴族らしい大きなベッドでバタバタ暴れて悶々とする気持ちを吹き飛ばそうとするが、疲れるだけだ。
「ヒロインじゃなくてクリスタに転生したからある意味…別角度プレイ中?で自分自身を納得されるしかないのかなぁ。」
ヒロイン視点ではなく、当て馬令嬢視点でのリアルタイムプレイ。
「詩織限定のキャラクターに今なら何と!ハイスペック機能付!!攻略対象達をリアルに間近な存在に!見て、触って当て馬令嬢視点をお楽しみ下さい。尚、クーリングオフは出来ませんので予めご了承下さい。」
気持ちを盛り上げる為にテレビショッピング風に呟いてみたが、気持ちは盛り上がらなかった。
「いくら攻略対象を間近に見られるって言ってもね。」
リアルとゲームは違うのだ。
コンコン。
クリスタがベッドで悶ているその時、クリスタの部屋のドアをノックする音が聞こえた。
「クリスタ様。そろそろお時間です。」
執事だ。
「わかりました。」
今日はクリスタに転生してから初のお見合いの日。
相手は宰相であるケルンズ侯爵の息子であるライム=ケルンズだ。しかも付き添いにシルフの言っていたクーデレのチェイサーも来るらしい。
チェイサーは平民だが非常に優れた頭脳の持ち主で、ゲーム時には数学教師になっていた。
今は大学部に通いながらライムの家庭教師をしていると言う。
「気乗りしないなぁ。」
ライムは甘えん坊系ヤンデレキャラだ。
しかもどうすれば自分が可愛らしく見えるかがわかっている狡猾な性格をしている。
『オレ攻め』はハッピーエンドであるハピエンとノーマルエンドであるノマエンとバッドエンドであるバドエンがあり、詩織が見た事があるのはノマエンとバドエンだ。バドエンでは攻略対象であるキャラから嫌われてしまうのだが、ライムだけは違った。
ライムのバドエンでは、溺愛され過ぎて拉致監禁されてしまう。
「気に入られないようにしなきゃ。」
拉致監禁は勘弁。
ヤンデレには捕まらないようにしなくてはと、自身の体を抱きしめるクリスタだった。




