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マシューとしてではなく、クリスタとして改めて親友となったクリスタとベンヴェヌードは、仲良くリッチフォースの街並みを買食いしながら歩いていた。
途中でクリスタは目立たなくて動きやすいズボンなど服を買い、服が汚れる事を気にする事なく遊んでいる。
それまで着ていた服は古着屋に売り、買食いの資金となっていた。
「クリスタ!あっちに行こうぜ!!」
「うん!」
貴族の令嬢であるクリスタは買食いする事なく上品に毎日を過ごしているので、こうしてベンヴェヌードと笑いながら食べ歩く事がとても楽しい。
買食いしながら食べ歩くなど詩織として生きていた時以来だ。
クリスタとベンヴェヌードは日が暮れるまで遊び歩いてからセフィロスの館へと戻った。
「おかえり。楽しかった?」
セフィロスの館に戻ったクリスタとベンヴェヌードを出迎えてくれたのはマシューだ。
「はい、お兄様。こんなにも楽しく遊んだのは初めてです。」
お嬢様であり日頃勉強漬けの日々を過ごすクリスタにとって、こんなにも遊ぶ事はほとんどない。
「ベンヴェヌード、今日は妹が世話になったね。ありがとう。」
そう言ってマシューはにこやかに笑うが、そのにこやかだが冷たい笑顔はベンヴェヌードに対してクリスタに近寄るなと言う牽制をしている。
「マシューがクリスタだった事にも驚いたけど、クリスタがマシューだったって事にも驚きだな!あれだけ可愛かった女の子が実は男って!男でもこんなに綺麗だし。兄貴が立ち直れないのも、この際男でもって言うのもわかる!」
ベンヴェヌードはマシューの冷たい笑顔に臆する事なくマシューの顔を見て驚くと、マシューの冷たい笑顔の温度が更に下がった。
「私はあの時の事を言われるのも、男に言い寄られるのも嫌いなんだ。」
マシューに浮かぶ対零度の微笑みに、さすがのベンヴェヌードも失言に気付いたらしい。
「そ、そそ、そうだ!2人共、ヒュドールについて何か知らないか?」
マシューの絶対零度の微笑みに怯えつつ、そう尋ねるベンヴェヌードの表情は真剣だ。
「オレなりに調べてるんだけど、1年程前から消息が掴めなくて……その……。」
「襲撃されて死亡したと言う噂がある……だろ?」
最後言い淀むベンヴェヌードの言葉をマシューが続ける。
「私もそれからのヒュドールの消息が掴めない。状況的に生存の可能性の方が低いと思っている。」
「お兄様…それって?」
ヒュドールはもう生きてはいないと言う事なのだろうか。
「彼も君達の親友だからな。生死を確実に確認出来たら知らせようと思ったんだ。」
マシューの表情からヒュドールの生存している可能性は極めて低い。
でもクリスタの為に僅かな可能性を信じてヒュドールを探してくれているのだろう。
「クリスタ。今日は疲れただろう。もう休むんだ。ベンヴェヌードも騎士舎に部屋があると聞いている。ヒュドールに関する資料をまとめておくから、また明日の朝にでも来ると良い。」
青い顔をして立ち尽くすクリスタとベンヴェヌードを促し、マシューも部屋へと戻って行った。
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