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安定したゲートを開くには『場』と呼ばれる場所で開かなければならない。
『場』でゲートを開くと術者の能力にもよるが、何もしなくとも10日間位開いたままでいられる。が、それ以外の場所でゲートを開くと魔力の放出し続けなければゲートは閉じて霧散してしまうのだ。
「準備はよろしくて?」
『場』に立ち、大掛かりな魔法を久々に使うからか少々興奮している母が向かい合うクリスタに訪ねた。
「はい、お母様。」
興奮する母とは違い、クリスタは冷静そのもの。
初めて使う魔法に対する緊張はないようだ。
「始めます。」
『場』の周りには結界が張られ、その結界内にいるのは術者である母とクリスタだけ。
結界は魔法を使っている間無防備になる術者を守る為と、万が一魔法が失敗してしまった時の被害を最小限に留める為だ。
両腕を広げてから全身の魔力を安定させ、ゆっくりと腕をまっすぐ前に伸ばす。
まずは母が魔法を発動させると、クリスタが母の魔法に合わせ魔力を上乗せさせていく。
クリスタと母の魔力が混ざり合い、すぐにキラキラとした桃色の雲のような物が発生し始めた。
このゲートを開く魔法は国でトップクラスの魔法使いである母でも、数人の魔法使いのサポートを必要とし、3回に1回しか成功しない難しい魔法だ。
今回は久々な上、母をサポートする魔法使いがこの魔法を初めて見聞きするクリスタ1人だ。数回の失敗は覚悟していたのに……ここまでは順調そのもの。
「我が娘ながら末恐ろしい子ね。」
そんな母の呟きは魔法に集中するクリスタには聞こえなかった。
熟練の魔法使いのサポートがあっても難しいゲートを開く魔法……この桃色の雲のような物はこんなに早く出ては来ない。
クリスタのサポートは素晴らしく、こんなにも早く桃色の雲が出てきた事にも驚きだが、クリスタは共にゲート開こうとしているのだ。
本来この魔法のサポートは術者が効率良く魔法を使えるように魔力を循環させる事が主な仕事とする。しかしクリスタは魔力を循環させつつ母とゲートを開いていた。今回コツを掴めれば1人でゲートを開けるようになるに違いない。
クリスタは本当に優秀な魔法使いになれるだろうと母は思う。
マシューも優秀だが、父親に似たのかマシューは魔法を行使するよりも肉体を強化する魔法を用いての肉弾戦や力技を好む傾向がある。細やかな魔力操作も出来るし才能もあるが、性格上母が望むような魔法使いにはならないだろう。
だがクリスタは違う。優秀で素直なクリスタはきっと母が望む以上の魔法使いになれる。その期待からか、母はどうしてもクリスタに厳しく教育をしてしまう傾向にあった。
娘を誰よりも優秀な魔法使いに育てたい……親としての過度な欲なのはわかっているが。
母がクリスタの魔法使いとしての輝く未来を想像している内に、リッチフォースの領地へと続くゲートは開いていた。
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