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「普段の学園長はもっとチャラい服装だと聞く。1年の仮とは言え初めての社交会でチャラい服装は出来ないと、毎年この行事だけは正装するらしい。入学式には出席すらしないのにな。緊張も解れただろ?」
アルトゥールか踊りながらくっくっくっと笑っている。
「確かに緊張は解れましたけど……。」
あれはない。
如何にも真面目を絵に書いたような厳格なおじ様がテンションアゲアゲって。
ある意味クリスタに転生してから1番の衝撃的な出来事だと思う。
「オレは楽しいけどな。」
アルトゥールは本当に楽しそうにダンスを踊っている。
「ダンスがお上手ですのね。」
お世辞ではなく、ダンスが苦手なクリスタが安心して身を任せられるほどアルトゥールはダンスが上手い。
「当然だろ?このオレ様なんだからな。」
フフンと笑うアルトゥールは、クリスタ褒められて嬉しそうに笑った。
うわぁ!リアルアルトゥール!!と、クリスタの中の詩織が顔を出す。
神もここにいたらこの尊さを分かち合えるのにと残念に思う詩織だが、実はいる。詩織が気付かないだけで、精霊の姿でふよふよ漂いながら萌えている。
「喉が乾いたな。行くぞ。」
心配していたファーストダンスは難なく踊り終え、アルトゥールにエスコートされながら喉を潤す為にドリンクを取りに行くとカーラが婚約者と共に待ち構えていた。
「ごきげんよう、カーラ様。それにシューア様。」
「ごきげんよう、殿下。クリスタ様。」
まず優雅な挨拶を交わし合うと、クリスタとカーラはふふふと笑う。
「スクウェア嬢と、スクウェア嬢の婚約者の…シューア伯爵令息だったな。楽しんでいるか?」
「ダグラス=シューアと申します。殿下とラフォレーゼ嬢のダンス…とても素晴らしいダンスでした。」
カーラの婚約者であるダグラス=シューアは、カーラと同じ伯爵位の令息だ。
少し細い目でカーラを見る眼差しは優しく、カーラも嬉しそうにダグラスのその細い目を見つめ返した。
「素敵なお二人ですね。」
互いを大事に想い合っているのが見てわかる2人はとても輝いている。
「クリスタ様にはたくさんの家から婚約の申し込みがあると伺っていますわ。どなたかとお会いになられては?」
爵位の高いクリスタの家にはクリスタにもマシューにもアイリーンにも婚約の申し込みが殺到していた。
しかしラフォレーゼ家は子供達には恋愛結婚推奨しているので、申し込みは全て断っている。
「まぁ、クリスタ様には色恋沙汰はまだお早いかと思いますけど。」
カーラの言い分に悔しくもあるが、クリスタにとっては事実である。
「カーラ様とシューア様も踊られてはいかがですか?」
クリスタがもうこの話は終わり!と言わんばかりにカーラ達にダンスを勧める。
クリスタとアルトゥールのファーストダンスが終わり、他の生徒達も踊り始めていた。
「そうですわね。私達も行きましょう?」
ドレスの裾を翻し、カーラはダグラスと共に去っていく。
クリスタは2人の背中を見送りながら、アルトゥールがいつの間に手にしていたドリンクを受け取り、周りで踊るみんなを眺めていた。




