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後日アルトゥールから贈られたのは髪飾りだった。
マシューからアルトゥールに、ネックレスを贈るのは束縛したいと言う意味合いあるから駄目、イヤリングは自分の存在をいつでも感じていて欲しいって意味合いがあるから駄目、指輪など言語道断!と色々駄目駄目言われた結果らしい。
「素敵な髪飾り!!」
クリスタがもらった髪飾りを羨ましそうに見ているのはクリスタの妹のアイリーン=ラフォレーゼだ。
ほわほわの金の髪に青い瞳で母親似の顔立ちをしている。
「お姉様!こちらの箱は何が入っているんですか?」
クリスタに贈り物をしたのはアルトゥールだけではなかった。
「こちらは第一皇子殿下からで……お兄様から決して開けてはならないと言われていているの。」
アルトゥールからの贈り物と共に贈られてきたリカルドからの贈り物。
現在マシューは高等部の寮に戻っているのだが、リカルドから何か贈られても未開封のまま送り返せと言われている。
「どうするの?」
アイリーンが首を傾げて問うが、クリスタ自身どうしたら良いのか悩み中だ。
マシューの言う通りに送り返すのはかなり気が引ける。
しかも相手は皇族、不敬になりかねない。
「開けてみましょう。」
開封する言い訳を考えつつ箱を開けると、そこには豪華なネックレスとイヤリングと指輪のセットがそこにあった。
「……すごい。」
クリスタと共にそれをみたアイリーンの呟きの通り、とても凄い。
どれも中心に、リカルドの瞳と同じ色のネーロヴィオーラという宝石があり、その周りをリカルドの髪と同じ色であるイエローダイヤモンドで飾られている。
イエローダイヤモンドはもちろんとても高価な宝石なのだが、それよりもネーロヴィオーラは更に高価だ。
詩織の世界にはなかった宝石なのだが、希少な上、クリスタの国では皇帝の色として最も高貴な宝石と言われている。
「……返そう。」
こんな国宝レベルの物をもらってしまっては、本当に結婚させられてしまう。
兄の言葉に従うべきだった。
一般庶民の詩織からお嬢様のクリスタに転生しただけでも勉強やら作法やら大変なのに、まして皇后になってしまったらどれだけの勉強が待っている事か。
ただでさえ日々勉強ばかりしているのに。
もしかして……。
母はどこに嫁いでも、誰を婿に迎えても大丈夫なように教育を施すと言っているが……まさかリカルドに嫁がせる気なのだろうか。
ラフォレーゼ領の領主兼皇后……次期ラフォレーゼ領主の父がいて、特殊領であるラフォレーゼだからこそ可能ではある。
クリスタの母と皇后は親友同士で、お互いの子供を結婚させようとベタな約束でもしたのかもしれない。
「この宝石綺麗!」
アイリーンはこのネーロヴィオーラが気に入ったようだ。
紫は皇族・王族の色で知られていて、多少色合いは違うが紫の瞳を持つ者は統治者に相応しいと言われている。
10歳の頃に出会ったヒュドールもアメジストのように奇麗な紫の瞳をしていたから、今思えばヒュドールはどこかの国の王子様だったのかもしれない。
あれから何の音沙汰もないが、元気でいて欲しいと切に思う。
「これはお返しする物だから触っては駄目よ。」
「返しちゃうの?こんなにキレイなのに?」
ネックレスを手に取ろうとしたアイリーンを制し、プレゼントの箱を閉じる。
「美しいからこそお返しするの。この宝石を身に着けられるのは知性も美貌も品性も兼ね備えた人だけ。恐れ多くて私には身に着けられないわ。」
リカルドへの受取拒否の手紙とアルトゥールへのお礼の手紙を書かなくては。
名残惜しそうな顔をするアイリーンの頭を撫でたクリスタは手紙を書く事にした。
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