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「わっ!」
ドサッ!
隣の部屋へと続く扉をマシューがノックをすると、隣の部屋で何かが落ちた音がきこえた。
それから何度か転んだような音と呻き声も聞こえてくる。
「大丈夫?起こした?」
ドアの向こうから響いてくる音にマシューも苦笑いだ。
「いや、起きてた。開けるぞ。」
そうして開け放たれたドアの向こうから、昨日の瑠璃色に水色のメッシュの髪の少年が立っていた。
マシューがノックで慌てて飛び起きたのだろうか、気崩れた寝間着に寝癖まみれの頭で寝起きの割には呼吸も乱れている。
「お、おはよう、クリスタ。」
それでも平静を装ってる風に照れた様子でマシューに挨拶する少年は頬を真っ赤に染めている。
……あぁ、好きになっちゃったんだ。
そう、すぐにわかった。
マシューを見る濃い紫の瞳はまさに恋する少年で、クリスタなど眼中にない。
「おはよう、ヒュドール。昨日はよく眠れた?」
挨拶を返すマシューに、少年ヒュドールの顔はますます赤くなる。
ヒュドールと言いブルーノと言い、マシューの美少女さに一目惚れする気持ちはよくわかるが、実は男だと知った時……マシューに一目惚れした男達はどうなるのだろうか。
「あ、あぁ。お前の弟のベッドは寝心地が良いなぁ!」
鼻の穴を広げて焦るヒュドールは、きっと隣の部屋にいるマシューを意識してしまってそんなに眠れなかったんだろうな、とクリスタは思う。
「彼はヒュドール。昨日空から落ちてきた少年だよ。」
焦るヒュドールに対してマシューの対応は少々冷たい。
まぁ、マシューの立場から同世代の少年に一目惚れされるのは男として複雑だろうが。
「ヒュドールだ。お前がマシュー?オレの命を救ってくれてありがとう。マシューがいなかったら、オレは地面に激突して命はなかった。」
クリスタはスッと手を出して握手を求めたヒュドールの手を握り、柔らかく握手をする。
「マシュー・ラフォレーゼです。貴方が無事で良かった。」
ヒュドールがあのスピードのまま落下していたらと思うとゾッとする。
例え初対面の相手だとしても、無事で良かったと思う気持ちに嘘はない。
ヒュドールから手を離して彼と目を合わせると、濃い紫の瞳がとても綺麗だと思った。
「マシューの銀色の髪は綺麗だな。」
クリスタがヒュドールの瞳を綺麗だと思うのと同時に、ヒュドールもクリスタの銀の髪を綺麗だと感じたらしい。
クリスタの手から離れたヒュドールの手はそのまま上に上がり、クリスタの前髪に触れた……が、マシューに叩き落とされた。
「触るな。」
アイスブルーの絶対零度の瞳でヒュドールを見るマシューの口調は冷たく、ヒュドールだけでなくクリスタまでも硬直させてしまっている。
「ご、ごめん…なさい。」
素直に謝るヒュドールだったが、マシューの瞳はしばらく冷ややかだった。




