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クリスタが目覚めたのは翌日の朝だった。
誰かの息使いを近くに感じ目を開くと、そこにはまだあどけない表情で眠るマシューがいる。
「と、尊い!」
朝日に照らされた金の髪がキラキラと輝く美少年マシューの寝顔はまさに天使。
予期せぬ天使の寝顔に詩織だった頃の記憶が久し振りに表に出てしまった。
きっと同じ体験をすれば神でさえも尊いと叫ぶだろう。
「ん……もう朝?」
寝ぼけ眼でクリスタに声をかけるマシューは、クリスタは自分が今クリスタなのか詩織なのかが一瞬混同してわからなくなった程に尊かった。
「おはようございます、お兄様。」
それでも何とかクリスタとしての顔を保つ事の出来たクリスタは、笑顔でマシューに挨拶をした。
「不本意だけど、お祖父様の屋敷にいる間はお姉様だよ。」
そう言って頭を撫でてくれるマシューは、二人きりだと言うのに女装に使ってるウィッグをつけたまま。
「昨日の空から落ちてきた子がそっちの部屋にいるし、ガドリン兄弟もしばらくここに泊まる事になったんだ。」
「えっ?」
そっちの部屋と言う事はクリスタが使っていたマシューの部屋の事だろう。
それにガドリン兄弟までしばらく泊まる事になっているなんて、クリスタが眠っている間に何が話し合われたのか。
「詳しくは朝食の時にって言ってた。ただ、風の精霊の洗礼を受けたマシューが女の子だったらって言ってるのは、ガドリン夫人だけじゃないんだ。だから……。」
だからマシューは女装を続けている。
クリスタを守る為に。
「ありがとうございます。」
妹思いのマシューの気持ちを受け止めたクリスタがマシューにぴったりくっついてお礼を言うと、マシューは照れくさそうに笑った。
「そろそろ起きて着替えようか。着替えたら隣の部屋の彼を紹介するよ。」
隣の部屋の彼……それはきっと昨日空から落ちてきた少年なのだろう。
自分達で着替えを済ませると、マシューは部屋の中にある隣の部屋へと続く扉をノックした。
それにしてもマシューは本当に女装がよく似合う。
美しい金の髪にアイスブルーの透き通るような瞳にぷっくりとして愛らしい唇。
後数年後には背がぐんぐん伸びて王子様のような美青年になるのだが、その成長過程はすごく良い!
詩織の最推しはマシューではなかったが、好きな攻略対象者であった事には変わりなく、クリスタに転生してから兄としてますますマシューが大好きになった。
神グッジョブと、神に対しての信仰心が日々増していくクリスタである。




