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ヴァンパイア☆パニック!?ひとりはいる、ファンタジー担当です(5)

 肩を揺さぶられる。


「―――上地。おい、上地。起きろ。もうすぐ授業始まるぞ」


 予鈴を告げるチャイムが耳に入る。

目覚めを促す声にのろのろと机に突っ伏していた顔をあげると、前の席の戦人くんが呆れたように私を見ていた。


「らしくねぇな。オマエ、寝過ぎだろ」


「私、ずっと寝てた?」


 窮屈な格好で机の上に頭を置いて寝ていたせいだろうか、異常に疲れている。

自分がいつの間に寝たのか思い出せなくて、疑問に思ったまま戦人くんに聞けば、彼はおーと頷く。


「授業終わった瞬間から、今まで寝てたぞ。次は現国でだりぃけど、頑張れよ」


「うん。ありがとう」


「おう」


 少し近寄りがたく思わせる目つきの悪い焦げ茶色の瞳を細め、戦人くんは微かに笑う。

戦人くんは私を起こしてくれてミッション達成とばかりに前を向いて、教科書を机の上に置いて、肘をついて先生が来るのを待った。

戦人くんに倣うように私も教科書を用意する。ふと、筆箱に忍ばせた鏡を何気なく見やった。


 顔に痕がついていないか確認しようとして、固まる。


「すこし、あかい」


 リップは塗っても、ルージュは塗らない。


 なのに仄かに赤い唇に、私は首を傾げた。

自分の唇に指先を持っていき、なにかをなぞるかのように指を這わせた。


 こつん。


 頭に紙がぶつかる気配がした。


 もうすぐ先生が来るのになんだろうと、頭にぶつかって落ちた紙を拾い上げる。

丸められた紙を広げれば、冥加くんからの手紙だった。

自然と苦い顔になってしまう。ちらりと少し離れた冥加くんの席のほうを見れば、彼は素知らぬ顔で教科書に目を通していた。


「………」


 読まずに捨ててしまいたい衝動を抑える。


『トリック・オア・トリート!何かお菓子ちょうだいよ』


 女子か!と思わずつっこみを入れたくなってしまう。

くすっと小さく笑えば、教科書に目をやっていた冥加くんと目が合う。


 慌てて、逸らした。


 そうか、今日はハロウィンか。


吸血鬼ヴァンパイアと人魚の仮装は見たくないかも」


 なんとなく、そう思った。


 鞄に確かポッキーを忍ばせていたことを思い出す。

この授業が終わったら、戦人くんにもあげて、ついでに冥加くんにもあげよう。

まだもやもやするけど、冥加くんが歩み寄ってくれたんだから、もう許す。

私の一方的なわがままでしかないもんね。


「頑張ろう」


 がんばって、冥加くんを落とす!


 私は決意を新たにした。



◆◆◆



 物語は、動き出している。

 私の知らないところで、私のための――いや、私のためだったはずの物語が。



 あの人によって歪められた物語が、進行している。



「はやくおれと恋をしよう、ひかりちゃん」



 

▼ 天司 影智 と 朝海 瑛 の 攻略情報 が 開示 されました。

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