↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夏のタイムカプセル ―僕と魔法のハムの夏―  作者: Fos B


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
98/113

番外編:【はじめてのキャンプの話を聞くはずだったのに……】

今日のタブレットの画面の向こうは、三陸にいるおじいちゃんとおばあちゃん。東京にいる僕とお母さんを合わせた4人で、画面越しに話をしている。

「この間、お父さんと話していたときにお母さんから聞いたんだけど、昔住んでいた団地の近くに米軍の弾薬庫があって、子どもの頃にそこで初めてキャンプをしたんだって。おじいちゃんとおばあちゃんも、その弾薬庫に行ったことあるの?」

僕がそう尋ねると、おじいちゃんは「俺は行ったことないなぁ。近くを車でよく通ってはいたけど」と首をかしげ、おばあちゃんも「私も行ったことは一度もないわ。噂には聞いていたけれどね」と答えた。

すると、お母さんが話を割って入ってきた。

「そういえば、友達の家が座間キャン(キャンプ座間)の近くにあったから、独立記念日の花火大会には何回か行ったことがあるわよ。基地の中はまるでカリフォルニア州みたいで、日本なのに、住所もカリフォルニア州って知って初めて行ったときは本当にびっくりしちゃった!」

「お母さんも基地の中に入れたんだ?」

「そうなの。独立記念日の花火の時は一般開放されて入れるのよ。ものすごい人出で、駅からずっと長蛇の列だったわ。今みたいにICカードなんて便利なものはないから、帰りの切符売り場で並ばずに済むように、友達のアイデアで事前に往復切符を買っておいたの。友達の経験と知恵ね」

「すごい気合だね……」

「もうね、中は日本じゃなくて本当にアメリカって感じで、空気の匂いまで違うのよ。屋台も基地の人がハンバーガーやホットドッグを売っていて、そこが私にとっての『チリドック』との出会いだったわ。すごく外国の味がしたのを覚えているなぁ」

「お母さんって、外国の香りがするところになると、妙にフットワークが軽いよね」

僕がからかうと、お母さんは「悪かったわね!」と笑う。

「いくら当時の円高で海外レジャーブームとは言っても、仕事があったりして海外旅行なんて簡単に行けなかったからさ。せめて雰囲気だけでも味わいたかったのよ」

「そういえばお母さん、昔から『危ないから変なところに行っちゃダメ』って言うくせに、自分の若い頃は……」

僕がツッコミを入れると、おじいちゃんとおばあちゃんも「本当にそうだよ」と笑いながら頷いた。

「まあまあ、それはそれとして!」とお母さんは話を強引に進める。

「花火は本当にすごい迫力だったのよ。広い芝生にシートを持っていって、みんなで寝転がりながら見上げるの。ただ、真上に上がるから火の粉がパラパラと落ちてきて、『服に穴が空かないかな』って少しヒヤヒヤしたけれどね。そういえば一緒に行った友達のひとりが、『買い出しに行ってくる!』って意気込んで長蛇の列に並んじゃって、結局花火が始まっても戻ってこられなくて、寝転がって見れなかったなんてこともあったっけ……」

すっかり花火の思い出話で盛り上がってしまい、肝心の「子どもの頃のキャンプの話」はすっかりどこかへ消えてしまった。

僕が本当に聞きたかったのはキャンプだったんだけどなぁ……。まあ、面白い話が聞けたからいっか。

お母さんの面白すぎる過去の思い出は、今日も僕のタイムカプセルにどんどん溜まっていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。