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夏のタイムカプセル ―僕と魔法のハムの夏―  作者: Fos B


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番外編:【修学旅行事情】

あと数日でおじいちゃんとばあちゃんの家から、東京の自宅へ帰る。少し切ない日々が続いている日の夕方、いつものようにタブレットの画面越しで、東京にいるお母さんと、三陸のおじいちゃん・おばあちゃん、そして僕の4人で話をしていた。

会話の途中で、お母さんが僕に言った。

「そういえば、新学期が始まったら9月の終わりに日光へ修学旅行に行くのね。私たちの時も日光だったわ。そこは変わらないのね」

すると僕は、

「今は受験があるから、大体9月から10月までにみんな修学旅行を終わらせちゃうみたいで、スケジュールが集中して大変みたいだよ」

と答えた。

それを聞いたお母さんは、

「そういえば以前、あなたの小学校でも修学旅行の当日になって全然バスが来なくて、『どうしたのかしら?』と思ったら、バスを手配する日を間違えていたみたいですごい大騒動になったことがあったわね」

と懐かしそうに話し始めた。

「えっ、そんなことがあったの? そんな間違いあるんだ……」

僕はびっくりして目を見張った。

「もうその翌年からは、先生と旅行会社とPTAの三者でしっかり確認を取るようになったのよって、パート仲間が前に言っていたわ」

僕はふと気になって、おばあちゃんに聞いてみた。

「ねえおばあちゃん、この辺の子たちは修学旅行どこに行くの?」

「みんなから聞いた話によるとね、東京のディズニーランドに行って班行動したりするらしいわよ。あと、国会議事堂を見学するって、近所の子たちが言っていたわね」

どうやら、同じくらいの時期に修学旅行へ行くらしい。

その話を聞いて、お母さんがおばあちゃんに話しかけた。

「そういえば昔、いとこがそっち(三陸)から東京に修学旅行に来るってなったとき、お母さんとか他の親戚みんなで、その子が泊まる旅館に会いに行かなかったっけ?」

おばあちゃんは「行ったわねぇ」と笑って答えた。

「昔は、田舎から甥っ子や姪っ子が修学旅行に来たら、旅館まで行って直接お土産やお小遣いを渡していたものだよ」

それを聞いた僕は、思わず声を上げた。

「えーっ! そんなの、今は絶対だめだよ! 防犯上だってまずいし、金額の決まっているお小遣いなのにその子だけ多くなったら不公平だしさ。そもそもお土産や食べ物なんてあげて、もし万が一食中毒でも出たら大問題になっちゃうよ!」

僕の言葉に、おばあちゃんもしみじみとうなずいた。

「本当にそうだよねぇ。今はもう、みんなそんなことはしないみたいね」

お母さんも「そうよね、今の時代は絶対に許可されないわよね。でも、当時の中学生だった私でさえ、『親戚が旅館に来るって、これって大丈夫なのかな?』って思っていたくらいだから、その頃から少しずつ厳しくなっていったのかもね」と振り返った。

それを静かに聞いていたおじいちゃんが、ぽつりと言った。

「昔は大らかだったんだなぁ……。旅館のロビーでみんなで集まって写真とかも撮ったりしたもんなぁ。今は本当に、いろいろと気を使う大変な世の中になってしまったんだなぁ」

三陸の夜は、思い出話とともに静かに過ぎていった。


まだまだ家族の話は続きます

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