番外編:お母さんと僕の初めての大冒険 ⑬〜卵豆腐のカリフワ食感と、忘れられないおもてなし〜
食卓に笑顔が広がる中、僕は日本へ帰る前の夜のことを思い出し、画面越しのお母さんに話しかけた。
「お母さん、帰国する前日の夜、お父さんの同僚の人たちが連れて行ってくれたあのご飯、本当に美味しかったよね」
「そうねぇ! あの日は本当にびっくりしたわ。古民家をおしゃれに改装したお店で、みんなで庭に出て、夜風に吹かれながら食べたでしょう?」
おじいちゃんが興味津々で聞いてくる。「どんな料理が出てきたんだい?」
「『家常豆腐』っていう料理だよ!」と僕が胸を張って答えると、お母さんがクスクス笑った。
「あら、あなた本当に気に入ってたわよね。一皿全部ペロリと食べて、まさかのおかわりまでねだるんだもの。みんなに笑われてたわよ」
「だって、本当に美味しかったんだもん!」僕は照れながら、おじいちゃんたちに説明した。
「『家常豆腐』っていうのは『家庭の豆腐料理』っていう意味なんだけど、その店のは一味違ったんだ。普通は厚揚げを使うんだけど、そこは『卵豆腐』を一度揚げてから炒めてあったんだよ。外はカリカリで、中はプルプル。そこに空芯菜のシャキシャキ感が合わさって、もう最高だったんだ!」
おじいちゃんがゴクリと喉を鳴らした。「カリッとしてプルプル……それは食べてみたいなぁ。ビールのつまみには最高だろうねぇ」
おばあちゃんも「卵豆腐を揚げるなんて、面白いわね。今度私も挑戦してみようかしら」と目を輝かせた。
すると画面の向こうで、お母さんがクスッと笑う。「そういえば、お父さんはその横で、地元の『青島ビール』をガブ飲みして、とっても嬉しそうだったわね」
おじいちゃんが「そのビールも飲んでみたいなぁ!」と言うと、おばあちゃんは呆れたように「もう、おじいちゃんったら!」と笑って見せた。
「同僚の人たちはみんな日本語が上手だったけど、時々現地の言葉を教えてくれたよね。みんなでワイワイ食べて、これが『おもてなし』なんだなって感じたよ。……ねえ、日本に帰ってきてからも、どうしてもあの家常豆腐が食べたいんだ」
僕がそう言うと、お母さんは画面越しに力強く頷いてくれた。
「わかったわ! 日本の材料でどこまで近づけるかわからないけれど、お母さん、頑張って作ってみるわね!」
「本当? やったー!」
おじいちゃんとおばあちゃんも「それは楽しみだねぇ」と声を揃える。異国の地で育まれた温かな思い出と、日本で再現される家族の味。僕たちの冒険は、美味しい約束とともに少しずつ終わりの時へと近づいている。
番外編は家族の笑顔とともに続きます




