番外編:お母さんと僕の初めての大冒険 ⑫〜公園の小さなハンターと、朝の太極拳〜
午前中にアイツと仲間達と海に泳ぎに行った。僕は疲れて昼寝をしてしまった。
昼寝から目覚めた僕は、慌てておじいちゃんとおばあちゃんを呼び、魔法の箱を繋いだ。画面の中には、仕事を終えたお母さんの笑顔がある。
「お母さん、おかえり! おじいちゃんとおばあちゃんも、一緒に話そうよ」
「お母さん、今日はおじいちゃんたちに、あの異国の公園の話をしようよ。」
画面越しにお母さんが微笑む。「公園? あの、朝から賑やかだったところね」
「そうそう!」僕は熱心に話し出した。「おじいちゃん、あの公園は朝からすごかったんだよ。みんなグループに分かれて健康体操をしたり、太極拳をしたり……。公園にあるジムのマシンみたいな不思議な遊具で体を鍛えているおじいさんたちが、みんなムキムキだったんだから!」
おじいちゃんは目を丸くして笑った。「へぇ! それはすごいな。俺も見習わなきゃいかんなぁ」
「朝からそんな風に体を動かせるなんて素敵ねぇ。私もやりたいわ!」とおばあちゃんも声を弾ませる。
「あとね、池の周りには大量の亀が岩の上でひなたぼっこをしててさ。でも、その公園で僕は大変な目に遭ったんだよ」
僕が腕を見せながら言うと、おばあちゃんが「どうしたんだい?」と心配そうに覗き込んだ。
「蚊よりもずっと小さくて、見えないくらい素早い『蠓』っていう虫に刺されちゃったんだ。日本語だと『ヌカカ』っていうんだって。手や足が痒くて痒くて、半端じゃなかったんだよ!」
「ヌカカかい……。そりゃあ痒いぞ。大丈夫だったのかい?」とおじいちゃんが顔をしかめる。
「お父さんの同僚の人が『塩をすり込むといい』って教えてくれたんだけど、結局日本から持っていったクラゲにも使える薬を塗りたくって、ようやく痒みを抑えたんだ。何日もかかったよ……」
お母さんが苦笑いしながら言った。「本当に申し訳なかったわね。お母さんとお父さんは長袖長ズボンだったから無事だったけど、あなただけ刺されちゃって」
「マンションの下には卓球台やバドミントンのコートもあって、みんな汗を流して健康に気を使っていたんだ。公園に行くと、その国の元気の秘訣がわかるような気がしたよ」
「健康が一番だねぇ。俺たちも公園で何か始めようかな」とおじいちゃんが言うと、みんなで笑い声が上がった。
タブレットの向こうで、お母さんも嬉しそうに頷いている。異国の地で見つけた、健康を大切にする人々の風景と、小さな虫との戦い。
冒険の話は、まだまだ尽きることがない。




