番外編:お母さんと僕の初めての大冒険⑪ 〜異国の魔法と翡翠の迷宮〜
番外編:お母さんと僕の初めての大冒険⑪ 〜異国の魔法と翡翠の迷宮〜
おじいちゃん、おばあちゃんの家に帰ってきて、やっと晴れた。朝からアイツや仲間たちと釣りをして遊んだんだ。久しぶりにみんなと話しながらのんびり釣りをして、釣れた魚はお昼におばあちゃんに料理してもらった。最高だった。
宿題を済ませると、ちょうどパートから帰ってきたお母さんと「魔法の箱」がつながる時間になった。
「おかあさん、今日はみんなと釣りをしてきたんだよ! おばあちゃんが魚を料理してくれて、すごくおいしかったんだ」
画面の向こうで、お母さんが目を細めて笑った。
「よかったねぇ。最初は魚が苦手だったのに、食べられるようになってお母さんも嬉しいわ」
「うんうん、本当に美味しそうに食べていたよ」とおばあちゃんも嬉しそうだ。
「お母さん、お父さんのマンションに帰った後も、100万ドルの夜景の旅の時みたいにドキドキすることがあったんだよね」と僕が言うと、おじいちゃんがニヤリと笑った。
「またお父さんかい? どうもお父さんは話題がつきないなあ」
「おじいちゃん、違うよ! 広州を案内してくれるって約束した日に、お父さんが急に仕事のトラブルで行けなくなっちゃったんだ。でも、お父さんの同僚の人が、『ちょうど市内へ帰るから』ってガイドを引き受けてくれてね」
「へぇ、それはありがたい話だな」
「そうなんだ。行きは『配車アプリ』でタクシーを呼んでくれたんだよ。お父さんのスマホから予約してくれて、僕たちがどこを走っているかも、いつ着くかも全部わかるんだって」
「今時は日本でもスマホでタクシーが呼べるんだろう? おじいちゃんにはハードルが高くてやったことないが、便利な時代になったもんだ」とおじいちゃんが感心している。
「本当にそうよねぇ」とおばあちゃんも頷く。僕は広州の景色を思い出しながら続けた。
「タクシーの高速道路の運転はちょっと怖かったけどね。まず着いたのは『西関』っていう路地裏。歴史を感じる古い建物のすぐ背後に、超高層ビルがそびえ立っていて……まるで怪獣でも出てきそうな秘密基地みたいだったよ!」
僕がそう言うと、おじいちゃんとおばあちゃんは大笑いした。お母さんも画面越しに「本当に不思議な風景よね」と笑っている。
「軒先で鳥かごを吊るして話すお年寄りと、スマホ決済をする若者が隣り合わせなのよ。ガイドの同僚さんは『デジタル化が進んでいるけれど、路地裏には懐かしい風景も残っているんですよ』って教えてくれたわ」
「お昼に食べた飲茶も最高だった。でも、お母さんがスマホのタッチで払おうとしたらアプリ専用のお店で焦っちゃって。そしたら同僚の人がさっと払ってくれたんだ。この国の『もてなす文化』なんだって言われて、僕たち感激しちゃったんだ」
「それはご親切な方ねぇ」とおばあちゃん。
「その後は『翡翠の迷宮』みたいな宝石ビルに行ったんだ。ダンジョンみたいでワクワクしたよ。そこでね、魔除けの翡翠のコインを買ったんだ」
「翡翠? それが今回のお土産ね」とおばあちゃんが聞く。
「うん。本物かは分からないけど、店員さんに『本物かどうかは、買った人の気持ち次第ですよ』なんて言われてさ。おばあちゃんには、一番良さそうなやつを選んだんだよ!」
おばあちゃんは「まあ、嬉しい。本物かどうかより、あなたの気持ちが一番の宝物だよ」と微笑んでくれた。
「帰りのタクシーもすごかったよ。お父さんが離れた場所からアプリで呼んでくれて、ナンバープレートで呼んだタクシーかがわかるから、一生懸命探したんだ。見つからなくて焦ったけど、同僚の人が『ほら、そこですよ』って教えてくれて」
「今はほんとに便利な時代なのね。日本でもそうなのかい?」
「うん、日本でもアプリでタクシーが呼べるよ。便利だよね」
ガイドしてくれた同僚の人に別れを告げて、お父さんの所へ。
「タクシーを降りると、お父さんのスマホが『到着したよ』って音を鳴らすの。もう目の前にいるのに知らせが行くなんて、なんだか不思議で面白かったわ」とお母さんが笑う。
「ついていけないわねぇ。世の中、どんどん進んでいるのね」
おじいちゃんとおばあちゃんは、驚きながらも感心していた。画面の向こうのお母さんと僕の大冒険、あと少しでクライマックスになりそうだ。
番外編はまだまだ続く




